鳥取発の新作バレエ「赤毛のアン」。
オーディションから約1年にわたって制作が進められてきた作品が、10月、ついに初演を迎えました。
地方文化の新たな幕開け、感動の舞台裏に密着しました。

10月12日・13日、鳥取市のとりぎん文化会館梨花ホールで初演を迎えたのは、鳥取県文化振興財団プロデュースの新作バレエ「赤毛のアン」。
孤児だったアンがマシュウとマリラの兄妹に引き取られ、様々な騒動を起こしながらも周囲の人たちに支えられ成長していく世界的名作です。

赤毛のアンを題材にしたバレエ作品は実は日本初。
振付や楽曲など全ていちから作りあげます。

指揮・音楽監督 井田勝大さん
「鳥取の子どもたち、鳥取のダンサーの力、持っていらっしゃるエネルギー、これを使ってすれば赤毛のアンのような世界もバレエになるのではないかと、ずっと温めていたところだったんですね」

4年前から構想を練っていたと話すのは、数々のバレエ団と共演実績をもち指揮・音楽監督を務める鳥取県出身の井田勝大さん。

そして、振付と演出を務めるのは、元バーミンガム・ロイヤル・バレエの山本康介さんです。

地方からの文化発信。
2人がタッグを組み、プロジェクトがスタートしました。

東京の4人のプロのダンサーに加え、地元からも出演者を募ります。
去年11月に行われたオーディションを経て、地元からもダンサーと子役83人が選ばれ、今年2月に稽古が始まりました。

振付・演出 山本康介さん
「知ってる先生と知ってるところでそうやってて、知らない人の前でどうやって踊るの?もう一回!」

恥ずかしさから感情を目一杯出せない子どもたちに、時には山本さんから檄が飛ぶことも。

5月になると本格的な振付の稽古が始まり、出演者たちはそれをどんどん吸収。日ごとに成長していきました。

中学3年生にしてソリストに選ばれた、米子市の山下彩香さん。
表現力を磨きたいと挑戦を決めました。

山下彩香さん
「自分が知らない体の使い方とか音楽のとりかたとかもあるので、良いところを吸収しながらもっとすばらしいダンサーになりたいです」

大学生の渡辺千尋さんは1年のブランクがあり、バレエをやめようと思っていましたが…。

渡辺千尋さん
「オーディションの紙を見て、やってみたいなと思って挑戦しました」

今回、地元出演者の中で男性は2人だけ。
兄弟そろって出演する、社会人の河本綜一朗さんと龍磨さんです。
2人が舞台で共演するのはこれが初めてとのこと。

河本綜一朗さん(兄)
「自分が出ようかなと思っていて、弟に声かけたら、じゃあ自分もということだったので」
河本龍磨さん(弟)
「2人で同じ舞台で絡みがある踊りを一度もしたことがないので、今回は願わくばそういう場面があったらうれしいなと思いながら、2人で楽しんでいきたいと思います」

様々な思いや目標を持って集った出演者たち。
しかし、共通の目標は観客へ最高の舞台を届けること。
いよいよその日を迎えました。

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