原材料価格やエネルギー価格の高止まり、最低賃金の引き上げといったコストの上昇分を「多少なりとも価格転嫁できている」とする企業が8割近くの一方、「全く価格転嫁できない」企業が1割にのぼることが、帝国データバンクの調査でわかりました。

これは帝国データバンクが今年7月、全国2万7191社を対象に価格転嫁に関する企業の見解を調査したところ、1万1282社から回答(回答率は41.5パーセント)を得てわかりました。

それによりますと、原材料価格やエネルギー価格の高止まり、さらに最低賃金の引き上げに伴う人件費の負担増といったコスト上昇分について、「多少なりとも価格転嫁できていると」答えた企業が78.4パーセントで、全体の8割近くにのぼりました。

一方、「全く価格転嫁できない」企業は10.9パーセントと、前回2024年2月の調査から1.8パーセント減少したものの依然として1割を超えることもわかりました。

100円のコスト増加の価格転嫁は44.9円…

またコスト上昇分に対する販売価格への転嫁の度合いを示す「価格転嫁率」は44.9パーセントとなりました。

価格転嫁率は44.9パーセントで、前回調査(2024年2月)から4.3ポイント上昇したものの、依然として5割以上が企業の負担となっています。

これは、例えばコストが100円上昇した場合 44.9円しか販売価格に反映できず、残りの5割以上を企業が負担していることを示しています。

社会や取引先の理解進み、価格転嫁が進展…

企業側からは「価格高騰がユーザー目線でも一般化してきたため、価格転嫁が進んでいる」(建設業)「原材料価格の高騰に対して、販売先と認識を共有できている場合は価格転嫁しやすい」(機械)などの声が聞かれたということです。

価格転嫁の業種間の格差が広がりつつある…

業種別の価格転嫁率は「化学品卸売」が65.0パーセント、「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」が63.0パーセントとなっています。

調査に応えた企業からは、客離れを危惧して転嫁が難しいといった声が寄せられ、帝国データバンクは、業種間で価格転嫁に格差が広がりつつあるとしています。

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