今年5月、群馬県伊勢崎市で飲酒運転の車により2歳の男の子を含む3人が死亡した事故で、母親が初めて単独取材に応じました。自ら命を絶つことも考えたという母親を救ったのは、事故後に生まれたもう一つの命でした。

アルバムの写真を眺める女性。写っているのは、女性の長男・塚越湊斗ちゃん(2)です。

わずか2歳で、夫の寛人さん(26)とともに命を落としました。飲酒運転の車に巻き込まれたのです。

今年5月、群馬県伊勢崎市で飲酒運転のトラックが対向車線の乗用車に衝突し、湊斗ちゃんと寛人さん、義理の父親の正宏さん(53)、3人の命が奪われました。

湊斗ちゃんの母親
「手術の準備をされているところに連れて行ってもらって、湊斗に『頑張ってね』『ママここにいるからね』と言って、手術室をあとにしました。次、湊斗に会ったのは手術が終わった後で、手は尽くしたんですがって言われました」

湊斗ちゃんの母親
「ここで終わってますね。5月で。これは本当に事故の前の日に撮った寝顔です。どんどん増えていくものだと思ってたんですけど」

最愛の家族を失い、毎日のように泣き続けていたと話します。

湊斗ちゃんの母親
「事故を思い出した時、パニックになった時に(精神科医から)やるといいと教わった呼吸法。これには結構助けられてますね」

自ら命を絶つことも考えたという湊斗ちゃんの母親。事故当時、女性のお腹には第二子が。

この新たな“命”が女性の救いとなりました。

湊斗ちゃんの母親
「私が泣いてる時、(お腹の赤ちゃんが)強めに蹴飛ばしてくれて、励ましてくれてるのかなという意味で捉えてました。生まれてきてくれた後は1人じゃなくてこの子がいるので、ちょっと気が紛れるというか、安心する」

亡くなった湊斗ちゃんの出産の際は、コロナ禍で夫の寛人さんが立ち会えず、LINEで報告していました。寛人さんからは温かいメッセージが続きます。

2人目を出産した後、女性は湊斗ちゃんの時と同じように報告しました。寛人さんからの返信はありません。

湊斗ちゃんの母親
「(夫の寛人さんは)立ち会い出産をすごく楽しみにしてたので、出産した後も湊斗の時とは違って、『お疲れ』と言ってくれるパパがいない」

自宅には事故当日、2人が脱ぎ捨てた衣服が今もそのまま置かれています。事故から5か月たっても、触れないままです。

湊斗ちゃんの母親
「最後に3人で過ごしてた時の服と考えると、片付けられないです。何も触れないです。湊斗と離れるのがつらすぎて、湊斗のところにいこうとしたことは何回もあったんですけど、やっぱり赤ちゃんのことがあるので、何とか耐えて耐えてっていう日々でした」

事故をめぐっては、先週金曜、前橋地検が過失運転致死傷の罪で起訴された運転手の鈴木吾郎被告(70)について、「危険運転」に訴因変更する請求を行いました。

この翌日、湊斗ちゃんの母親は去年、家族で来た前橋まつりの会場に。被告への厳罰を求める署名活動を行いました。

湊斗ちゃんの母親
「2人のことを考えなかった日はないぐらいずっと考えています。(被告には)とにかく怒りでしかないです。 無責任さをちょっと自覚してほしいなと思います」

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。