シリーズ「現場から、」。100年に一度と言われる大雨に見舞われ、千曲川の堤防が決壊した台風19号災害から5年。被災地の長野市では「奇跡の太鼓」が復興を後押ししてきました。
長野市の「長沼こまち太鼓」。チームを指導するのは、宮澤秀幸さん(76)です。
宮澤秀幸さん
「災害の中でもいち早く太鼓を復活して、地域の皆さんを元気、勇気づけられたらいいよねと」
刻まれた傷跡。水害を耐え抜いた「奇跡の太鼓」です。
2019年10月13日。台風19号の影響で、千曲川流域は「100年に一度」の大雨に見舞われます。堤防が決壊した長野市では、関連死を含めて18人が死亡、1000棟以上の住宅が全壊しました。
決壊箇所近くにあった交流施設の責任者を務めていた宮澤さん。水が引いたあと、変わり果てた姿を目の当たりにしました。
宮澤秀幸さん
「本当に悲しいですね」
絶望に一筋の光を与えてくれたのは太鼓。チームの活動拠点だった交流施設から流された45個のうち、31個が見つかったのです。
17年前に立ち上がった宮澤さんたちの太鼓チーム。水害の前までは東日本大震災で被災した福島県を訪れ、人々を元気づけてきました。
宮澤秀幸さん
「太鼓の響きによって、復興の原動力にしたい」
ここで自分たちが演奏をやめるわけにはいかない。10人以上のメンバー全員が被災したものの、戻ってきた「奇跡の太鼓」の泥やカビを落として、活動を再開。再び福島にも出向いて、演奏を披露し続けました。
宮澤秀幸さん
「初めて福島の人たちと本当に心がつながったのかなと」
あの日から5年。交流施設は今も更地のまま。コミュニティーを維持する場所が減っているのが現状です。
宮澤秀幸さん
「私自身の時が止まっているような感じでですね。一日でも早く、心のよりどころとなる公民館が完成しないとですね、長沼の復興は考えられないのではないかと思う」
今月6日、宮澤さんたちは台風災害を振り返るイベントで「奇跡の太鼓」を披露しました。
宮澤秀幸さん
「(5年間)地域の被災者のみなさんにも元気と勇気を与えたと思う。『復興のシンボル』になったのではないかと確信している」
復興への願いが込められた太鼓の響きがこれからも被災地を元気づけていきます。
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