3年前、札幌市で当時小学3年の男子児童が、中学生の男子生徒から性被害を受けて不登校になった「いじめの重大事態」で、8日第三者委員会による調査報告書が公表されました。

報告書などによりますと、2021年5月、札幌市内の小学校に通う当時小学3年の男子児童は、同じスポーツ少年団に所属していた中学1年の男子生徒から、3回にわたり性的な被害を受けました。

当時小学3年の男子児童は中学1年の男子生徒から3回にわたり性被害を受ける

 その後、加害生徒は家庭裁判所に送致され処分を受けましたが、男子児童は不登校となりました。

男子児童は、性被害を受ける半年前にも、加害生徒から帽子や手袋を取られたり、雪山に落とされたりしたほか、登校途中に筆箱を取られるなどいじめにあっていました。

男子児童は不登校に

 男子児童の母親は、学校や所属していた少年団に情報を提供していましたが、学校は組織的な対応をとらなかったということです。

そして事件からおよそ10か月後に、母親が札幌市教育委員会にいじめ重大事態の調査を要望したことで、第三者委員会による調査が開始され、今年6月にいじめと認定されました。

報告書では「情報管理がずさんであり、適切な対応とは言い難い」

 報告書では、児童が通っていた小学校の対応について「対応や支援が教頭のみの判断で行われており、関係者間に情報が共有がなされていないなど、情報管理がずさんであり、適切な対応とは言い難い」と指摘しています。

報告書では「教職員たちの性被害に関する知識不足」も指摘

 また適切な対応や支援を実施できなかった要因として、教職員たちの性被害に関する知識不足をあげています。

一方、加害生徒が通っていた中学校の対応についても「被害児童や保護者への対応が不十分で、組織的に動くことができず不適切だった」としています。

札幌市教育委員会

 そのうえで、第三者委員会は、今回の事案では小学校、中学校、スポーツ少年団という団体が関わっていた点で、教育委員会がリーダーシップをとるべきだったと指摘。

札幌市教育委員会 喜多山篤 児童生徒担当課長

 性被害への対応という専門性が必要とされる事案にも関わらず、学校の対応は一般教師の対応の域を出なかったとして、速やかに専門職に援助を求めることも大切だと訴えています。

調査委員会の加藤弘道 委員長(8日午前 札幌市)

 ◆事実経過
《2020年》
冬…加害生徒からのいじめ行為(帽子や手袋、ネックウォーマーを取られたり、雪山に落とされたりする)

《2021年》
4月頃…加害生徒からのいじめ行為(筆箱を取られるなど)
5月26日以降…加害生徒から、3回にわたって性被害を受ける
5月30日…男子児童の母親が警察に電話で相談
6月17日…母親が小学校、中学校、スポーツ少年団に性被害にあったことを伝える
10月…家庭裁判所で加害生徒に対する審判が出る
12月7日…母親が小学校にいじめ調査の要望書を提出し面談

《2022年》
3月17日…母親から市教委に対し、重大事態調査の申し入れ
4月22日…市教委から市長に法に係るいじめの重大事態発生について報告
6月24日…調査委員会から教育長に報告書が渡される

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