人や地球に優しい取り組みを紹介するカラフルウィーク。先天性の障害を個性という強みに変えて活躍する男性を取り上げます。「日本一小さい営業マン」と名乗って日本一の営業マンを目指しています。
「この身体が一番の武器」キャッチコピーは”日本一小さい営業マン”
「山崎海斗。日本一小さい営業マンです」
爽やかな笑顔で挨拶する、福岡市東区の会社員、山崎海斗さん、25歳。身長は139センチで、自ら『日本一小さい営業マン』と名乗って活躍しています。
山崎海斗さん(25)「唯一無二の個性だと思っています。こういう身体を持っているからこそ『日本一小さい営業マン』というキャッチコピーを付けることができて。僕だからこそできることなので、一番の武器だと思っている」
障害が当たり前と思っていたら、中学校でいじめに・・・
海斗さんは、「先天性多発性関節拘縮症」という疾患で、関節が固まったり曲がったりした状態で生まれてきました。
山崎海斗さん「一年のうち半年くらいは病院にいて、ほとんど家には帰ることができていなかった」
小学校までは先生や友達に支えられ、楽しく生活していた海斗さんでしたが、中学校に入るといじめられるように。
別の小学校から来た同級生からつけられたあだ名は、「かび」や「ばいきん」でした。
山崎海斗さん「今までは障害が当たり前と思って生きてきた中で、自分の障害を悲観的に捉えることはなかったんですけど、中学生になって現実を知ったじゃないですけど。やっぱり自分って見た目違うし、みんなができることできないし、やっぱり障害者なんだなと。クラスメートと壁を感じるようになった」
支えは母 あえて厳しく、そして明るく
そんな海斗さんを支えのが母・絵里さんでした。いじめに苦しむ息子に対し、あえて厳しく接したと言います。
母・絵里さん「別の小学校から集まるので。まぁ、でもそれは仕方ないじゃないけど、この子だからいじめがあったというわけではないので。自立しないと。全部親がいつまでもしてあげられることではないので、いつ私も死ぬか分からないと思うと、この子一人でこの世の中においていけないので。できないことはいっぱいあるけど、気持ち的に強さ的にはメンタルは強くしておかないとなと思って」
厳しいだけではなく、友達のように明るく接してくれた母の存在が、海斗さんにとっては救いでした。
山崎海斗さん「すごく家で明るくしてくれたりとか強い母でいてくれてたので、自分にとっては最悪もし自分になにかあったとしても、助けてくれるという安心感があったので」
人生を変えた同級生の「一言」とは・・・
中学卒業後、海斗さんが入学した高校は厳しい校則がなく、みんなが違った服装、髪型をしていて、個性的な生徒が多い学校でした。
そこで、仲良くなった同級生からのなにげない一言が、海斗さんを変えるきっかけとなりました。
山崎海斗さん「『海斗も変わっとるけど俺たちもみんな変わってるし、別に気にせんでよくない?みんな違って、みんないいんやろ』と。その言葉のおかげで自分の殻を破れたというか、心の中にある障害を壊せた気がした」
そして、憧れの”営業マン”に
海斗さんは3年前、営業マンとして働く父・寿久さんの姿に憧れ、寿久さんが社長を務める電子機器販売の会社に就職しました。
父・山崎寿久さん「いやもう反対しましたよ、ずっと営業マンはやめとけと言ってたんですよ。朝早くとか夜遅くとか車も当然運転しないといけない、自分だけではなくてほかのスタッフにも迷惑をかけたりするので。ただ、やると聞かないからですね。本人が」
寿久さんの心配をよそに、海斗さんは持ち前の明るさで職場に溶け込んでいきます。
営業成績も社内でナンバー1になりました。
山崎海斗さん「僕からも『できないことや難しいことは手伝ってください』と、なんでも言い合える関係性になれたことは、同僚、上司含め会社の皆さんのおかげだなとは思っています」
同僚はこう話します。
「とにかく明るく前向きなところですかね」
「いいキャラですね。僕らも接しやすいですし」
「なかなか障害を武器にできる人できない人いると思うので、それをポジティブに捉えて武器としてやってるのはすごいかなと」
この日、海斗さんは、担当する福岡市東区にある取引先に向かいました。取り扱う電子機器の修理も海斗さんの仕事です。
取引先の社員「どうしたらいいですかねと、そしたら『すぐ行きます』みたいな。いついつ行きますと言ってくださるのですごく助かってます」
取引先・グリーンライフ産業 中村太郎代表「みなさん言われると思いますけど、底抜けに明るいですし元気があって、人に力を与えられるような。お仕事させてもらってて話してて楽しい」
障害を個性という強みに
海斗さんは自らの障害を個性という強みに変え、営業マンとして活躍するかたわら、YouTubeや講演活動を通して自身の経験を伝え続けています。
山崎海斗さん「健常者の子供たちが、障害を持っている子が周りにいてもこの子の個性なんだなと理解することもできるし。みんなと同じように生活したいけどなかなか自分を出せない子もたくさんいると思うので、そういう子たちが堂々と生きられるような、ひとつのきっかけになれたらなという想いで」
障害に対する差別や偏見をなくすことに加えて、自分の生き方を発信することで、同じ境遇で悩む人を1人でも多く救いたいと話す海斗さん。
山崎海斗さん「自分だからこそ、障害をもって生まれてきたんじゃないかと、僕だから乗り越えられると神様から与えられた試練じゃないですけど、そう思って生きてきている。自分だからこそ、もっといえば、この両親のもとだからこそ乗り越えられると思って、生まれてきたんじゃないかと思ってます」
明るく、楽しく、ポジティブに。きょうも海斗さんは自身の個性を武器に、日本一の営業マンを目指しています。
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