「語彙力がなくて伝わりにくい」「言葉の選び方で意見の相違が…」
多様化する現代の言葉に対応するために大事なのが“国語力”。
『これからの時代に身につけたい国語力(主婦の友社)』著者の明治大学文学部の齋藤孝教授に、‟国語力”を鍛える方法を教わります。

“国語力”ありますか?街の人はー

19歳・学生
「ないです。語彙力がなくて、思ったことをすぐ発言しちゃう。何も考えずに全部バーって言うから伝わりにくい。
『今日芸能人いてヤバかった』とか言うと、『どこで?ちゃんともっと説明して』みたいな感じで言われることは多い。」

22歳・旅館接客
「接客しているときに、『大丈夫そうですか?』とこちらが聞いて、『結構です』の大丈夫と、『いいですよ』の大丈夫で、意見の食い違いが生じたりとかあります。」

30代・会社員
「私が使う言葉に対して、昔の難しい言葉を使うと思われてて
10歳ぐらい離れてる子に『野暮用』って使ったときに、『野暮って何ですか?』って言われて通じなかった」

齋藤教授の考える『国語力』とは
〔1〕知識を深めていく力
〔2〕その知識を使って不便を解決する力
〔3〕自分の考えを相手に伝えられる力

国語力を鍛えるには、具体的にどのようにすればいいのでしょうか?

表現力アップ!【瞬間描写】

トレーニング一つ目は【瞬間描写】。1枚の写真を見て状況を30秒で説明します。
写真を見ていない人にもきちんと伝わるようにするのがポイントです。

番組出演者の朝日奈央さんが挑戦!

朝日奈央:
「すごいカフェでお友達同士ランチかな?なんかスマホに多分この右の女性の方が見せたいものがあったみたいで、友達に見せて感動してますね。すごく楽しそうな雰囲気が伝わってます。ちなみにこちらのカフェは、サラダを中心としたメニューが多いみたいですね。コーヒーもあるということです。美味しそうです。楽しそう、私も行きたいな。」

明治大学文学部 齋藤孝教授:
基本的に素晴らしかった。伝わると思いますね。
スマホで画面を人に見せているというのが基本ですから、サラダはあってもなくてもいいと思いますけど。
まず「女性2人が」というのを先に言っちゃった方が良いと思いますね。
最初に基本を押さえればあとは自由に2人の喋っていそうな内容を独創的に加えてもいいわけですよね。

江藤愛アナ:
アナウンサーは就職試験のときから情景描写を基本的に求められることが多かったので、やっぱり全体をまずイメージしてそこから自分なりの視点を作っていく。なんだかすごくできなかった記憶があります。

齋藤教授:
基本はやっぱり大事なことを先に言っておくってことですよね。大事なところから言って、時間切れがいつ来ても大丈夫なように言う。
今日は30秒ですけどもしかしたら15秒で切られちゃうかもしれませんしね。

言い換え力アップ!【言い換えマスター】

続いては【言い換えマスター】。
言い換え力がアップすると、自分の気持ちや場面にふさわしい言葉を使う能力が上がります。
例えば、「それマジ?」の「マジ」。
「本物」という意味のときもあれば「予想外」、「一生懸命」などいろいろな意味を含んでいます。
【言い換えマスター】は、ある言葉を違う表現でどのように言い換えるのかを考えるトレーニングです。

MC恵俊彰が挑戦する言葉は「やばい」。
30秒で「やばい」の言い換えをいくつ書けるかに挑戦!

結果、30秒で書けたのは「たいへんだ」「きけんだ」「すごい」「かっこいい」の4つ。

齋藤教授:
大事な種類の違いが示されているのでいいと思いますね。
「大変」「危険」っていうのと「かっこいい」は全然違いますよ。文脈によって全然違うというのが出ているのでいいと思いますけれども、数がね・・・。

「やばい」の言い換えはこんなにたくさんあります。

【危ない】危うい 危険 危機一髪 大ピンチ 物騒 不用心
【悪い】悪質 いけない 邪悪 ろくでもない
【上向きな気持ち】お祭り気分 気分上々 心が弾む 天にも昇るような
【すごく良い】最高 最上級 優れた すばらしい 得も言われぬ 際立った 堂々たる ドラマチック ぬきん出た 秀でた 目がくらむような 目覚ましい

恵俊彰:
昔は「やばい」って聞いたらマイナスなことをイメージしたけど、「やばい美味しい」みたいなことが今あるじゃないですか。

齋藤教授:
「美味しい」のときも「やばいうまい」とか、そういう使い方さえしますよね。便利すぎて他の語彙を使わなくなっちゃう。

ついつい使ってしまいがちな表現を、それ以外の言葉で言い換えるとどうなるのかを考えることで語彙力・表現力の増加につながります。

齋藤教授:
「かわいい」って言わないようにしようとかね。意識次第で語彙が増えると思います。

頭の回転・語彙力アップ!【20秒音読】

最後は【20秒音読】。
早く正確に20秒以内に音読します。

例えば古典落語の『寿限無』の一節。皆さんも声に出して20秒で読んでみてください。

寿限無 寿限無 
五劫のすりきれ
海砂利水魚の
水行末 雲来末 風来末
食う寝るところに 住むところ
やぶらこうじの ぶらこうじ 
パイポ パイポ パイポの シューリンガン
シューリンガンの グーリンダイ
グーリンダイの ポンポコピーのポンポコナーの
長久命の長助

齋藤教授:
早くかつ間違いがないように言うのが頭の訓練にいいんです。
見た瞬間に、もう言わなきゃいけないので目は言ってるところより先に送らないといけない。普段読むときもストップウォッチで測ってやるとだんだん速くなっていきますので、親子でチャレンジしてほしい。頭の回転がすごく良くなるんですよ。

(ひるおび 2024年10月2日放送より)
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<プロフィール>
齋藤孝氏
明治大学文学部教授 専門は教育学
ベストセラー『声に出して読みたい日本語』の著者

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