組織内のパワハラを通報して虚偽告訴容疑で逮捕された海上自衛隊の自衛官ら2人が、不起訴処分となった後も逮捕状などの資料を全国の海自職員が閲覧できるサイトに公開され、プライバシー権を侵害されたとして、計220万円の国家賠償を求める訴訟を横浜地裁に起こしたことが分かった。提訴は4日付。

◆職場でのパワハラを訴えたが、警務隊に虚偽告訴容疑で逮捕

 訴状などによると、2人は自衛隊横須賀病院(神奈川県横須賀市)で勤務中にパワハラがあったとして、当時の曹長に対する懲戒処分申立書を海上幕僚監部(海幕)などに送付。パワハラの事実はなかったとされ、うち1人が退職した後の2022年9月、2人とも警務隊に虚偽告訴容疑で逮捕された。

防衛省(資料写真)

 同11月に横浜地検横須賀支部が不起訴処分とし、2人は2023年2月、不当逮捕で精神的苦痛を受けたなどとして、国家賠償を求め横浜地裁に提訴した。訴訟継続中に原告がサイトを閲覧し、逮捕状や供述調書など45点が同10月まで、パスワードなしか容易に推定されるパスワードでサイト上に公開されていることに気付いた。防衛省の公益通報窓口に指摘し、不特定多数は閲覧できなくなったという。  訴状で原告側は「不起訴処分にもかかわらず、逮捕状が閲覧されることで不当な偏見を持たれる可能性が十分考えられる」と主張。国側はプライバシー保護の注意義務に違反したと訴えている。海幕広報室は取材に「係争中のため答えられない」とした。 

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