新進気鋭の映像作家として注目を浴びつつある岡山市出身の男性が、地元・岡山でテレビCMの撮影に挑戦しました。「映像の世界で活躍したい」。。。故郷・岡山で、男性が手掛けるCM制作の現場に密着しました。

岡山市出身の映像作家、板谷勇飛さん(23)「いつも以上に気合!」

(主人公)「やってみよう」
海辺に立つ、一人の女性。意を決し、電話をかけます。

(主人公)
「やります。この前の提案、私にやらせてください。私、ひとつ提案がありまして…」

(スタッフ)「カット~、OKです。これでいただきます」

先月(9月)、岡山県玉野市の渋川海岸で撮影が行われたのは、岡山市に本社がある企業のテレビCMです。主人公である会社員の女性が、新たなプロジェクトに挑戦する姿を描きます。

「ちょっと…」
「もう一回いくんだが、監督が指示しに行きま~す」

監督は、東京を拠点に活動する岡山市出身の映像作家・板谷勇飛さん(23)です。これまでに多くの企業のウェブCMなどを手がけてきたほか、SnowManの「BREAKOUT」や、なにわ男子の「Join us!」など、有名アーティストのミュージックビデオにも携わってきました。

業界の最前線で活動する板谷さんですが、今回のCMには特別な思いがあるといいます。

(板谷勇飛さん)
「岡山を代表する会社のテレビCMをさせていただけるというのは、映像を始めたきっかけそのもの、というか、かなりやる気を出して、いつも以上に気合いを入れている」

きっかけは高校文化祭で制作した「プロジェクションマッピング」

幼い頃から「テレビ」が好きだったという、板谷さん。中でも自然と惹き込まれたのが、CM・コマーシャルでした。

いつしか映像全般に興味を持つようになり、テレビ番組を模倣した動画などさまざまな作品を制作するようになったといいます。そして、高校生の時に取り組んだのが…

(板谷勇飛さん)
「プロジェクションマッピング。あれが映像で食っていこうと思った一番最初のできごと」

高校の文化祭を盛り上げようと、オープニングを飾るプロジェクションマッピングを制作。周囲の反応は、想像を超えるものでした。

(歓声)

(板谷勇飛さん)
「悲鳴みたいなうわ~!みたいな歓声が上がって、あれからもう味わってないくらいの気持ちよさというか、嬉しかったですね」

映像制作の職業に就きたい…両親も、その夢を応援しました。

(母・佐和子さん)
「(作品制作を)途中で投げ出すんだろうなと思ったんですけど、最後までやり遂げたんで、この子だったら大丈夫という安心感があったので」

そこで将来、役に立つのではと母・佐和子さんが地元の銀行などが主催するビジネススクールへの参加を勧めました。板谷さんは高校3年生ながらビジネススクールで起業のノウハウを学びます。

そして、大学に進学した後、映像制作会社を立ち上げ、今では数々の企業のプロモーションビデオやミュージックビデオを手がけるまでに。そうした中、制作が決まったのが、今回のCMです。依頼主は…?

「【ちゅうぎんポータル】がちょっと映れば…」

「若い人が興味を持ってくれるCMとは…」そのためにしたことは?

これまでの成長を支えてくれた、地元・岡山にある中国銀行のグループ会社でした。企業からの要望は、「銀行の利用頻度が少ない若者世代が興味を持つ内容にしてほしい」というものでした。

板谷さんは行員20人にインタビューを重ね、「やりたいことに挑戦しやすい社風」に注目。若手行員がベンチャー企業に融資を行おうと奮闘する姿を描くことにしました。

(ちゅうぎんフィナンシャルグループ経営企画部広報センター・中尾幹治さん)
「ちゅうぎんフィナンシャルグループのことを我々以上に理解してくれている」

「『こういうところが足りないんじゃないですか』という課題解決型の提案をしていただいたので、安心して任せられるかなというのは、みんなの総意でした」

老舗銀行の期待を背負う、まだ23歳のクリエイター。

(記者)「色々持ってますね」
(スタッフ)「大丈夫かな」

首から下げたストラップに、ヘッドフォンのコードが絡まる板谷さんです。

(板谷勇飛さん)
「東京に出てどんくらいのレベルになってんだよっていう。こうやって取材にも入ってもらっているのに、出来上がりが微妙だったらとんでもないよなっていう、その恐怖だけですね」

こうして行われた、2日間のCM撮影。約20人のスタッフとともに細部まで丁寧に作り込みました。

「もっかい奥見ていい?」

(板谷勇飛さん)
「過去にない規模での制作になったんですけど、思っていた以上の、見たことがないような質感というのは、達成できたのかなと」

板谷さんが今回撮影を通じて感じていたことは、「挑戦の場を与えてくれた地元の人たちへの感謝の思い」です。

(板谷勇飛さん)
「不安な部分ってあったと思うんですよ。そこを頼んでいただけたというのはすごいなと。もっともっと地元と濃く関わっていけるチャンスがあるのであればぜひやっていきたい」

夢に投資してくれた人たちの期待に、応えることはできるのか。板谷さんの制作したCMは来月(11月)上旬ごろにテレビやインターネットなどで公開される予定です。

【スタジオ】
板谷さんは東京・浅草にオフィスを構えていて、普段は同世代の仲間と映像制作をしています。今後は地元・岡山での活動も検討中で、CM制作などに積極的に挑戦していきたいと話しています。

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