江戸時代から栽培が盛んとなった山梨県上野原市のジャガイモ=「せいだ芋」を使って地域を元気にしようという取り組みが活発化しています。

新商品開発のプロジェクトも動き出しました。

小粒のジャガイモを味噌で甘辛く煮詰めた上野原市の郷土料理「せいだのたまじ」

それに、おととし発売され、市のふるさと納税返礼品にも選ばれているせいだ芋のポテトフライ。

「せいだ芋」は上野原市近辺でのジャガイモの別名で、由来は江戸時代にさかのぼります。

江戸後期にジャガイモの栽培を奨励して飢餓から人々を救った甲府代官 中井清太夫を「芋大明神」として祀り、地元ではジャガイモを「せいだ芋」と呼ぶようになりました。

その「せいだ芋」で地域を盛り上げようという動きが広がっています。

「せいだ芋」のポテトフライを開発したのが農業生産グループ「上野原せいだプラント」です。

上野原せいだプラントのメンバー:
「いただきます」
「これは最高」

上野原せいだプラントは高齢化などで生産量が減少した せいだ芋を栽培し、そのうち約2tを地域の特産品としてポテトフライにしました。

上野原せいだプラント 長岡洋明代表:
「ジャガイモの神様を祀っている地域なので、それを資源に上野原市が元気になったらそれが一番」
「私たちの活動を理解してくれる方が増えてきて、一番大変な収穫の時期に体力のある若い人が手伝いに来てくれるのは本当に助かる」

この日、代表の長岡さんの長女・夏未さんがある場所に向かいました。

甲州市勝沼町の白百合醸造です。

上野原せいだプラント 長岡夏未さん:
「父が作っている芋大明神という焼酎の原酒を使って新しくスピリッツを造りたい。蒸留酒を造っている白百合醸造さんに相談に行きます」

これはせいだ芋の歴史やストーリーをより多くの人に知ってもらうための新商品づくりで、海外展開も視野に入れています。

協力したのはフランスでワイン造りを修行した内田圭哉さんです。

白百合醸造常務取締役 内田圭哉さん:
「和(麹を使った焼酎)と洋(ワイナリーの技術)の混じったものが世界に届けられると面白い」
「世界にないオンリーワンのお酒が誕生するんじゃないか、そこにはワクワク感を持って取り組んでいる」

新たな酒の開発には海外展開を支援するジェトロ山梨も加わっています。

ジェトロ山梨貿易情報センター 濱田哲一所長:
「海外展開は商品がいいのはもちろんだが、大きいのは取り組んでいる人のやる気、あと一人ではできないのでチームを作って、みんなで取り組むのが理想的」
「それができているのがこのプロジェクト」

地域の宝であるせいだ芋を活用した取り組みの原動力は?

上野原せいだプラント 長岡夏未さん:
「基本の考え方はみんなで楽しくやる。楽しく夢を見るというか。江戸時代から続くせいだ芋を自分たちが楽しいと思えるものに」
「それと仲間たちと一緒に未来をつくっていくのがだいご味。せいだ芋のいいところは皆で取り組めるところ。そこもこのプロジェクトが前進する機動力。皆で楽しみながらやれたらいいなと思います」

新商品の蒸留酒は来年完成する予定で、せいだ芋を使った町おこしの取り組みはこれからも続きます。

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