大分市で去年8月、妊娠7か月の妻と9歳の息子を殺害したとして、殺人の罪に問われている男の裁判員裁判で、大分地裁は26日、「あらかじめ用意していた殺傷力の高い凶器で心臓を狙い、立て続けに無防備な被害者2人の胸などを突き刺して殺害したのであり、酌量の余地はない」として求刑通り無期懲役を言い渡しました。

判決を受けたのは大分市羽田の無職、首藤伸哉被告(67)です。判決によりますと、首藤被告は去年8月8日から9日にかけて、自宅で妻の李東娜さん(38)と息子の首藤佑馬さん(9)の胸などをペティナイフで突き刺して殺害しました。

事件現場

これまでの裁判で首藤被告は起訴内容を認めていて、検察は「被告は1年以上も前からナイフを購入し、定期的に切れ味を確認するなど計画的で根深い殺意を持っていた」と指摘。「動機は極めて身勝手で、冷酷非道な犯行。同情の余地は微塵もない」として、首藤被告に対し無期懲役を求刑していました。

一方、弁護側は「精神的に追い詰められた末の突発的、衝動的な犯行。反省を深めており有期刑が相当」と主張し、量刑が争点となっていました。

大分地裁で開かれた判決公判で辛島靖崇裁判長は、「あらかじめ用意していた殺傷力の高い凶器で心臓を狙い、立て続けに無防備な被害者2人の胸などを突き刺して殺害したのであり、突発的な犯行とは評価できない」

辛島靖崇裁判長

「動機について、妻の粗暴な言動が原因となった面はあり、それまで我慢してきた気持ちが耐え切れなくなり爆発して実行された犯行であるが、殺害という方法を選択したことは短絡的といわざるを得ず、強い非難を免れない」

「何ら落ち度のない佑馬さんを殺害したことは、あまりに身勝手・理不尽であり、酌量の余地はない」として、首藤被告に対し無期懲役を言い渡しました。

首藤被告はうつむき落ち着いた様子で判決を受け止め、最後は裁判長らに対して一礼をしていました。被告の弁護側は控訴しないとしています。

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