過去最多9人が出馬した自民党総裁選。決選投票の結果、新しい総裁は石破茂氏に決まりました。
・堀啓知キャスター
北海道文教大学の宮本融(みやもと とおる)教授(HBC選挙解説)は、結果をどう受けとめていますか
・北海道文教大学 国際学部 宮本融教授
落ち着くべきところに落ち着いたなと。紆余曲折あり、もう石破さんだめかなと思ったという場面も随分あったし、今日のなかでも高市かと思った瞬間も随分あったんですけれど、結果には納得しています。
東京都永田町で取材している堀内大輝アナウンサーと中継を結びます。
・堀内大輝アナウンサー(永田町リポート)
事実上の新たな総理大臣が生まれた、時代の変わり目ともいえる瞬間でした。私もホールの中で見ていたんですけれども、決選投票の結果が読み上げられてですね、石破新総裁が選ばれたことが分かりますと、「よし」という風に支持していた議員の声が響きまして、大きな拍手に包まれました。
石破新総裁は何度もお辞儀をして、手を振って声援に答えるというような様子でした。
投票は2回とも粛々と進んでいった印象でした。ある議員からは「石破さんは苦労人なのでようやくという感じでよかった」という話も聞こえてきました。
投票の動向が注目されていた麻生派を率いる麻生副総裁も、投票のときには会場内、ひときわ多くの報道陣のシャッターがきられていたような印象もありました。
ちなみにですけれども、投票前に「投票中にはスマートフォンを使わないように」というアナウンスがありまして、投票途中はスマホを出している議員の方というのは見られなかったんですけれども、結果が出て新総裁のあいさつが始まった途端に、たくさんの議員がスマホを取り出して、あいさつの様子を写真や動画に収めるというようなシーンが報道陣の席の所から見受けられました。
派閥の裏金問題を受けて、刷新感を主張したという今回の総裁選を振り返ります。
◇過去最多9人が出馬 選挙期間は過去最長の15日間
裏金問題で、ほとんどの派閥が解消された中で行われた、異例ずくめの自民党総裁選。
石破茂元 幹事長
「勇気と真心をもって、国民に真実を語ります」
高市早苗 経済保安担当大臣
「日本の経済成長を実現するために身を粉にして働いてまいります」
小泉進次郎 元環境大臣
「出るくいを打つのではなく,
出るくいを伸ばす。そんな日本をつくるために」
日本の次の総理大臣は誰になるのか…27日、その戦いが決着しました。
堀内大輝アナウンサー
「正午です。道内選出の自民党議員が次々と党本部へと入っていきます。投票時間が迫って、鈴木貴子議員や橋本聖子議員、そして長谷川岳議員も次々と党本部に入っていきました。そして今後ろで石破議員が入っていきます。候補者も党本部に入ってきています」
27日正午すぎ、東京都の自民党本部に続々と集まった総裁選の候補者たち。異例ずくめの総裁選は、この人の決断から始まりました。
岸田文雄総理
「自民党が変わることを示す最も分かりやすい最初の一歩は。私が身を引くことであります」
自民党を離党。その後、議員辞職した堀井学氏の有罪が確定するなど、北海道内にも大きな影響を与えた政治とカネの問題。
こうした問題への責任を取るとして、先月14日、岸田総理は次期総裁選への不出馬を表明しました。以降、過去最多となる9人が総裁選に立候補。15日間に渡って論戦を繰り広げました。
そして、午後1時から自民党本部で始まった投開票。
大方の予想通り、1回目の投票で過半数を獲得した候補者はいなく、高市経済安保担当大臣と石破元幹事長の決選投票に持ち込まれました。決選を制したのは…
「高市早苗君194票。石破茂君215票。よって石破茂君をもって当選者と決しました」
石破元幹事長が、高市経済安保担当大臣に21票差をつけて逆転。5度目の挑戦で自民党の新総裁に決まりました。
石破茂新総裁
「自由かったつな議論ができる自由民主党。公平公正な自由民主党。そして謙虚な自由民主党。皆、心を1つにして政権を奪還いたしました。もう一度そのときに戻りたいと思っております。この日本国を、もう一度皆が笑顔で暮らせる、安全で安心な国にするために。石破茂、全身全霊を尽くしてまいります」
課題山積のこの国のかじをどうとるか。早期の衆議院解散も予想されるなか、新総裁の決断に注目が集まります。
札幌市民(80代)
「(石破氏が総裁になると思っていた?)大体そうなると思っていた」
札幌市民(70代)
「ずっと地道に自分の考えを持っている人。悪いことはしてほしくない」
釧路市民(40代)
「妥当といえば妥当。経済的にもそうだが、国の安全を守ってほしい」
札幌市民(20代)
「(自民党は変わりそう?)「お願いします」という感じ。期待するしかない、決まった以上」
◇石破氏「最後の戦い」制す…北海道民が見た自民党総裁選
・堀啓知キャスター
決選投票は、高市氏と石破氏で争い、その結果、石破氏が新総裁に選ばれました。宮本先生、1回目の議員票から逆転したということになると思います。これらの票数から言えることはありますか。
・北海道文教大学 国際学部 宮本融教授
党員票1回目で高市さんのほうが石破さんを1票だけ上回った。だからこれで「あ、そうなんだ」と…これでもう高市さん、要するに高市包囲網ができているというのを昨日ぐらいに言われていたわけです。それを見て「このまま高市でいくんだ」と思った。私はそれで、日本初の女性総理が出るのかと。
だけど、女性総理の割には、すごくリベラルでない人が来るんだなというのを、どうコメントしようかと頭の中でグルグルしていたんですけど、結論こうなって、そうだよなという感じになったんですけど。
・堀啓知キャスター
要は2回目は、国会議員の票を石破さんが大幅に伸ばしたということですよね。
・北海道文教大学 国際学部 宮本融教授
最後は、2人の比較を見て、派閥の締め付けが緩くなり、携帯電話が本当に使えなくなったのか知りませんけど、なんとなくやっぱり今の自民党の国会議員の良識みたいなのを感じます。
・堀啓知キャスター
なるほど。これが派閥論理が強く働いていたら、こうならなかっただろうなということですもんね。
・北海道文教大学 国際学部 宮本融教授
前回なんて、1回目高市さんを推していた人が、安倍さんが「岸田だ」と言うんで、政策的には真逆の岸田さんにドーンと乗っかるわけでしょ。そういう意味では高市さんがちょっと可哀そうな感じがした。
・堀啓知キャスター
有力と見られていた小泉氏は残ることができませんでした。
・北海道文教大学 国際学部 宮本融教授
本当にこれはびっくりです。15日間というわざわざ若手が名前を伸ばすことができるように、長い選挙期間だったわけですね。それで若者があっという間にメッキが剥げて落ちていくというのを見せられて。ちょっと一つ一つの言葉自体には小泉さんなりの思いがあって。政治評論家とかボロクソ言ってますけれど、ちょっと可哀そうな気がするんですよ。
やっぱり見てて、正面から問題に答えないとか、用意された質問じゃないと、はぐらかして終わりにするとか。そういう感じはやっぱり批判されてもしょうがないかなという気はします。
・堀啓知アナウンサー
石破氏が掲げる政策をまとめました。主な主張は防衛力強化、防災省の創設、地方の人口減少対策など挙げています。政治とカネに関しても、正当なガバナンスの法律制定は急務だということも言っています。あと選択的夫婦別姓については、かねてより個人的には積極的だということです。
・北海道文教大学 国際学部 宮本融教授
安全保障の話というのは、2人とも安全保障について強い主張を掲げていて、今まで護憲平和を中心にどうするのかというのが、日本の政治の与野党対決の主軸だったんですけれども、野党も立憲が野田さんだということで、日本周辺の安全保障というのが急務だということは、国民のコンセンサスになりつつあるということを反映しているんじゃないか、ということですね。
選択的夫婦別姓は、今から20年位前に私が北海道大学にいたときに、枝野さんが北大に来て「選択的夫婦別姓で政界再編やると大体いい感じに半分半分になるんだよな」と言ってて、それから私なんかの感覚だと賛成がいっぱい増えているような気がするのに、やっぱり自民党の中では、選択的夫婦別姓いいんじゃないかと言うと、随分叩かれちゃう。それは逆に言えば自民党が右側にシフトしているんじゃないかという感じがする。
鳥取出身の地方創成に命を懸ける石破さんは、北海道にはいい感じだと思うんですけどね。
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