自民党の新しい総裁は石破氏に決まりました。(9月27日「Nスタ」午後4時10分すぎの放送より)
■高市氏と21票差で逆転 石破氏の勝因は?
中島記者の報告です。
2012年の総裁選では、逆転で安倍元総理に総裁の座を譲った石破氏ですが、今回は逆転での新総裁就任となりました。
1回目の投票では、高市氏が大方の予想を大きく上回る議員票、党員票を獲得し、共に石破氏を上回っていました。しかし、決選投票では石破氏が議員票、都道府県連票を上回る結果となりました。
これは派閥の裏金問題など、「政治と金」をめぐる問題への危機感が自民党議員にあったものとみられます。
高市氏の推薦人には安倍派の議員が14人、名を連ねるなど自民党の議員からも「世論の批判に晒される他、国会での野党との論戦に耐えられない。高市総理では次の衆院選や来年の参院選では戦えない」との声が根強くありました。こうした危機感から、決選投票では石破氏が議員票を積み上げたものとみられます。
5度目の挑戦で悲願の総理への就任が事実上決まった石破氏ですが、今後は党内を一つにまとめていけるのかが課題となります。
これまで自民党議員でありながら時の政権への批判もいとわない姿勢が党内に反発も生んできました。
27日朝、石破氏はJNNの取材に「総力結集内閣」を築くと強調し、「安倍派の議員であっても国政で最大限力を発揮してもらうため、国民に応援してもらうえるようできる限りのことは全てやる」と意欲を示しています。
経済や安全保障など、多くの課題が山積する中、今回の総裁選を集大成と位置づけてきた石破氏の手腕が問われることになります。
■「皆が笑顔で暮らせる、安全で安心な国に」選出後の第一声で
石破氏は、選出後の第一声でこのように述べました。
自民党 石破茂 新総裁
「岸田総裁が大変な決意を持ってその職を辞され、自由民主党が生まれ変われるように、もう一度国民の信頼を取り戻せるようにご決断をなさいました。私どもは一丸となって、それに応えていかなければならない。
私どもは3年余、野にありました。安倍総裁のもとで私は幹事長を拝命し、自由闊達な議論ができる自由民主党、公平公正な自由民主党、そして謙虚な自由民主党、みな心を一にして政権を奪還いたしました。
もう一度そのときに戻りたいと思っております。国民を信じ、勇気と真心を持って真実を語り、この日本国をもう一度皆が笑顔で暮らせる、安全で安心な国にするために、石破茂、全身全霊を尽くしてまいります」
■派閥存続の麻生派の票が分裂か
南波雅俊キャスター:
自民党総裁選の決選投票の結果は…
【決選投票】
・石破茂氏(67) 国会議員189票、都道府県26票、計215票
・高市早苗氏(63) 国会議員173票、都道府県21票、計194票
国会議員票でも石破氏が上回る結果になりました。派閥がそれぞれ支持を表明するなどしていて、引きはがしの動きなどもありました。
TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
今回は岸田さんが派閥を解散すると言ってから初めての総裁選挙で、麻生派以外は事実上解散することになりました。
例えば岸田さんのグループ(旧宏池会)は思想信条なのか、高市さんには投票しない人が多かったようですし、麻生さんは、高市さんと言いましたが、“派閥”内でも相当割れて相当数は石破さんに流れたとみられます。
派閥を存続している麻生派が分裂してしまい、派閥解散を決めている岸田派が一致結束して動くという皮肉な現象が起きました。
■「政治とカネ」強く発言する石破氏
南波キャスター:
石破氏は1986年に銀行員を経て、衆院選(鳥取)で初当選を果たします。2002年、小泉内閣で防衛庁長官として初入閣。2012年には、安倍晋三総裁のもとで、自民党の幹事長に就任。そこから少し安倍氏と距離をとる時期もありました。
石破氏は、▼富裕層への課税強化、▼防災省の創設などを主張しています。
TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
石破さんは途中で自民党を出て非自民勢力に加わって、辻元さんたちと同じグループでやっていました。
そして、自民党に戻ったので自民党の中には、石破さんの行動に対して不信感を持っている人は、麻生さんを含めて相当数いる印象です。
南波キャスター:
焦点の一つの「政治とカネ」問題について、以下のように発言しました。
自民党 石破茂 新総裁(9月19日)
「説明責任を果たすだけではなく、本当に何に使ったのか、きちんと確認をして納税しなければならない」
今回の候補者の中でも、政治とカネの問題について、強く発言しています。
TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
一般論としてこのように言っていますが、今まで決めた処分をひっくり返すのか。
これから解散・総選挙であれば、すぐに後任を決めなくてはいけません。何千万円も「裏金」をもらった人に対して公認するのかどうか。
裏には最大勢力の安倍派のグループがいるので、どこまで押し切るのか…そう簡単ではないと思います。
立憲民主党 辻元清美 代表代行:
ぜひ石破さんにやっていただきたいと思います。
一緒にテレビの討論会などに出ることもありますが、石破さんは評論家的な部分が少しあります。
本当に実行する力があるのかと。石破さんがいくら言っても、「自民党」という体質が変わらなければ、今までと同じなので手腕が問われると思います。
どこまで本気でやるのか。予算委員会や与野党の議論を一定時間やった上で、有権者の皆さんに信を問うていただく。まずは公約を果たしていただきたいと思います。
■石破氏「『すぐに解散します』という言い方は、私はしません」
南波キャスター:
石破氏は衆院解散について…
自民党 石破茂 新総裁(9月19日)
「『すぐに解散します』という言い方は、私はしません。解散して良い状況が整うかどうか判断」
TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
国会では所信表明後、少なくとも代表質問を行います。その後の予算委員会で、おそらくその時間がないということで解散に突入する可能性が高くなってきていると思います。
日比麻音子キャスター:
「時間がない」でいいんでしょうか?
TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
時間は作ろうと思えば作れるんですよね。
立憲民主党 辻元清美 代表代行:
(時間は)作れます。よく自民党は、自分たちが(法案などを)押し切りたかったら、「徹夜国会」でも何でもやるわけです。やればいいんですよ。(自民党の)新しい総裁と野党第一党の立憲の代表が選ばれたので、国民の皆さんは直接対決を見たいと思いますよ。
TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
それこそ土日を使ってでもいいわけです。
立憲民主党 辻元清美 代表代行:
土日を使ってよくやったじゃないですか。押し切るところだけやって、選挙は逃げ切りというのは許されないと思いますね。
■1回目の議員票1位 小泉氏の処遇どうなる
南波キャスター:
今後の党の人事はどうなっていくのでしょうか。党の三役といわれる「幹事長」「総務会長」「政務調査会長」ついてです。小泉進次郎氏が今回3位でしたが、この三役に関わってくる可能性はあるのでしょうか。
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
すごく悩ましいところだと思います。小泉さんは今回3位でしたが、1回目の投票のときには議員票が75票で、高市さんも上回って1位でした。党内の議員をしっかりまとめたということで、相当、存在感を示しました。
小泉さんをどう処遇するのか、どうしたら自民党のプラスになるのかを石破さんはものすごく考えると思います。幹事長はすごく重要ですが、党をしっかりまとめる力量・力技も求められます。一方で、選挙の顔にもなりますので、小泉さんはどういう立場が一番いいのか、石破さんは熟慮すると思います。
日比キャスター:
石破さんはどんな人選をしてきそうでしょうか。
立憲民主党 辻元清美 代表代行:
他党の人選は私は申し上げません。どんな人選で来ても受けて立ちます。
■官僚ベースでは「10月27日投開票」 石破新総裁の判断は
南波キャスター:
9月27日に自民党の総裁選が行われましたが、今後、10月1日には臨時国会が召集されます。
予算委員会、解散・総選挙に繋がっていくとみられます。11月にはアメリカ大統領選、2025年1月には通常国会があり、夏には参議院選挙も予定されています。
TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
10月1日に臨時国会があって、4日に「所信表明演説」があります。
7日から代表質問があって、それを終えて解散・総選挙に踏み切るのか。予算委員会で与野党のディベートをやるのかどうかは、石破新総裁の最終的な判断だと思います。
ただ、年末の予算編成や選挙日程などを考えると、財務省や総務省などの官僚の人たちは「早くやってくれ。早く決めてくれ」と言っているところです。それを新総裁がどういう政治的リーダーシップでさばくかです。このままいくと早期解散・早期投開票、10月27日投開票を官僚ベースでは提案しているので、そこをどう判断するかですね。
日比キャスター:
「予算委員会なし」となれば、どのような戦いになっていくでしょうか。
立憲民主党 辻元清美 代表代行:
それは許されないことだと思います。特に石破さんは「防災省の創設」と言っています。能登半島が苦しんでるわけで、いつも予備費で来ていますが、これは邪道です。しっかりと災害対策、補正予算を組むべきだと思います。
石破さんは「顔だけ変えて逃げ切ろう」というようなことはしないと私は信じております。(党首が)石破さんと野田さんなので、将来の日本をどうしたいのか、本格的な本当の政治改革ができるのかということを落ち着いて議論することは、今の日本にとって大事なことだと思います。
TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
久しぶりに、自民党も野党第一党も論客が出てきました。あまりムードに流される議論ではなく、政策の中身を中心にがっちりと議論する場面を、国民も見たい、選挙の判断材料にしたいと思っているのではないでしょうか。
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<プロフィール>
辻元清美さん
立憲民主党代表代行 民主党政権で国交副大臣
1996年~衆院議員(7期) 2022年~参院議員
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年
岩田夏弥
TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当
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