21人が死傷した「保津川下り」の転覆事故。国の運輸安全委員会が調査結果を公表しました。

 船頭が乗客に救命胴衣の使い方を念入りに説明します。穏やかな川辺をゆっくりと出発した船。ここで事故が起きたのは、1年半前のことでした。

 去年3月、京都府亀岡市で保津川下りの船が転覆し、船頭2人が死亡、乗客19人がけがをしました。当時乗船していた客は…

 (乗客)「大きな岩にのりあげるような形で正面から勢いよくぶち当たって、船が回転して落ちていった」

 国の運輸安全委員会は9月26日、事故の原因について公表。最後尾にいた船頭の男性(当時36)が舵の操作を誤って川に落ち、船が操舵不能になって岩場に衝突したことで転覆したと結論づけました。

 また、死亡した船頭の1人が救命胴衣を着ていなかったことや、事故現場の電波が悪かったため、救助要請に約30分かかったことなども挙げています。

 運輸安全委員会は、船の足場に落水防止のストラップなどを付けることや、救命胴衣の全員着用、年1回以上の訓練実施など、10項目の再発防止策を周知するよう「全国河川旅客船協会」に要請しています。

 さらに保津川下りの運航組合では2023年7月の営業再開にあたり、出航できる水位の基準を85cmから65cmに変更したほか、乗客の身長が80cm以下の場合は乗船不可にするという制限を新たに設けました。また、事故の教訓を生かして救助訓練を実施するなど、再発防止策を徹底してきたといいます。

 (保津川遊船企業組合 豊田知八代表理事)「もう一度あの事故の反省を忘れることなく安全対策を徹底していく。そして安全が確実に確保されて担保された中に、本当の楽しい観光があるというところをこれからもつくっていく」

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