9月19日、走行中の東北新幹線で車両の連結が外れ、一時全線で運転がストップした問題について、鉄道工学の専門家は「非常に重大な事故」としたうえで電気的なトラブルの可能性を指摘しています。

日本大学 綱島均特任教授:
「新幹線でこのような事故が発生するのは、連結して分割併合するような運行を開始してからはじめてのケースで非常に重大な事故と捉えている」

日本大学の綱島均特任教授は、今回のトラブルについて「重大な事故」と話します。9月19日、宮城県大崎市内を走行していた東北新幹線「上り」の「はやぶさ」と「こまち」の連結が外れ緊急停車しました。東北新幹線はおよそ5時間にわたって運転を見合せおよそ4万5000人に影響が出ました。

綱島特任教授は、連結が外れた原因について電気的なトラブルの可能性を挙げます。

「誤った信号が送られたか」

日本大学 綱島均特任教授:
「信号が正常に送られなく、列車を開放するという信号が誤って出て、それに応じて連結機が開放動作を行ってしまった可能性が考えられる」

JR東日本によりますと、新幹線車両の連結と分離は、時速5キロ以下にならないとできません。当時、時速315キロで走行していた東北新幹線。JR東日本は人為的なミスではないと話します。

JR東日本 高岡崇東北本部長:
「人為的に何か分離の操作をしたわけでないし、例えしたとしても分離される状態ではない。システムについて連結の段階で運転手も車掌も特に異常はなかったということまでは分かっている」

綱島特任教授は、仮に電気的なトラブルだった場合、詳しい原因究明には時間がかかると予想します。

日本大学 綱島均特任教授:
「ノイズ(異常な信号)が誤動作の原因だった場合は、同じノイズを発生させて、(同様の)現象が確認できればいいが、できないケースの方が多い」

また、現在走行している新幹線で今後、同様のトラブルが起きる可能性については…。

日本大学 綱島均特任教授:
「こういうことが起こる可能性がゼロかと言われると、分からない現時点ではゼロではないかもしれませんが、非常にまれな事故だと思います。新たに対策を追加するのであれば、トラブルが起こっても、開放動作ができないような更なる物理的な対策を講じることなどが大切」

トラブル相次ぐ東北新幹線

東北新幹線は今年に入ってからトラブルが相次いでいます。
▼1月には、上野駅と大宮駅の間で架線を引っ張り上げる重りを支える部品が切れて架線が垂れ下がり停電が発生。午前中から終日運転を見合せました。

▼また、3月には郡山駅でおよそ500メートルオーバーランして盛岡駅と東京駅の間でおよそ2時間半運転を見合せました。▼4月には、福島駅付近で始発前に点検用の車両から油が線路上に漏れ一時運転を見合せました。JR東日本は今回のトラブルを受けほかの車両の点検をするとともに原因の究明を進めています。

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