神奈川県から長岡市に移住し、難病患者の支援にあたっている新潟県地域おこし協力隊の男性がいます。全国でも珍しいという身近なICT機器を使ったコミュニケーション支援とは…

「こんにちは!新潟県地域おこし協力隊の丸山です」
去年11月、長岡市に移住した丸山雄也さん(29)は県の地域おこし協力隊として、難病患者の支援にあたっています。

丸山雄也さん
「新潟県全域の神経難病患者さんに対して、身近なICT機器、スマートスピーカーやタブレット端末。そういったものを無償で貸し出して、使ってもらって、生活の質をよくしていただくといった支援をしています」

この日、丸山さんは2年前にICT機器を導入した患者を訪ねました。筋肉が弱まる難病『ALS』を患っている北村弘(66)さんです。日常生活で手が動かせなくなり、不便さを感じていました。

ALS患者 北村弘さん
「エアコンつけて」

スマートスピーカーを使って、音声で家電を操作できる環境を整えました。また、タブレット端末は足元のボタンスイッチで操作しています。

丸山雄也さん
「これをポンと押すと、ニコちゃんマークとか、なんかスタンプみたいなのが入ります」

メッセージアプリの基本操作や便利な使い方を教えるのも、丸山さんの仕事です。

ALS患者 北村弘さん
「丸山くんみたいに、病院の先生以外でもこうやってサポートしてくれる。親切に対応してくれるので良いです」

丸山雄也さん
「寄り添う形で、本人の要望や家族の要望をきちんとうかがって支援をするということは、常に心がけています」

身近にあるICT機器を使ったサポートが、北村さんの新たな世界を広げています。

ALS患者 北村弘さん
「自分で文章を入れて投稿するというのは、すごく緊張もしますけど、みなさんから見てもらって、時々コメントもいただくので、すごく励みになるし、楽しみでもあります」

北村さんの妻・秋江さん
「私たちは使っていても、よくわかっていないから不安になるじゃないですか。話を聞くと安心して使えるので。外に出て行く楽しみもできたので、よかったなと思っています」


全国でも珍しいICT機器を使った難病支援は、新潟県長岡地域振興局が2年前に始めた取り組みです。サポートが必要な患者の掘り起こしが、目下の課題となっています。

県職員
「特徴的な取り組みだからね。いろんな人に知ってもらう努力をしないと」

丸山雄也さん
「そうなんですよね。まだまだ理解が追い付いていない部分が多いので」

広報活動に力を入れる丸山さん。支援の裾野をさらに広げようと、新たな連携に取り組んでいます。この日、丸山さんは長岡崇徳大学で看護を学ぶ学生たちとパーキンソン病の患者会をつなぎ、オンライン交流会を開催することにしました。

丸山雄也さん
「地域で難病支援をやっていくには、継続していくには、地域の学生と一緒に組んでいったほうがいいだろうということで。こうした活動をきちんとモデル化すれば、県内しかり全国にも広げていけるので」

パーキンソン病患者
「今、車椅子の状態で。やっぱり時間がかかりますね、車椅子だと」

患者の悩みを聞くことはもちろん、学生たちからは「みなさんのストレス対処法はありますか?」と質問が。すると…

パーキンソン病患者
「それは、娘と一緒に行くアイドルのコンサートです」

学生
「えー」

パーキンソン病患者
「なんか生活感も出て、こういうのはいいですね」

学生
「このICTサポーターをするまでは、病院でのサポートというのが、私の中でのイメージだったんです。ただこうやって在宅で生活している方もいらして、在宅の方にも目を向けてサポートしていきたいなと思っています」

丸山雄也さん
「もう完璧だったな。私よりもしっかりされているので、みなさん。これを“ひとつの種”として育てていって、新潟県が“難病支援の先進県”になるように、任期中にできればいいなと思っていますね」

「タム・チョーク(乾杯!)」

この日は長岡にいるラオス人留学生たちとの食事会!

ラオス人留学生
「一番怖いのは犬!」

丸山雄也さん
「犬怖い、怖い」

実は丸山さん、以前はJICA・海外協力隊として、ラオスでソフトウェアの使い方を教えていました。

丸山雄也さん
「自分のキャリアの軸としては、ICTの支援っていうところが一つの軸としてあって、その支援が行き届いていないところに、自分の力で何かやりたいっていう」

丸山さんが長岡の地に来るきっかけを作ったのが、JICAのネットワーク。長岡でJICAの窓口業務を行っている原洋介さんが、難病支援の担い手を広く呼びかけたところ、丸山さんがそれに手を挙げたのです。

JICA長岡デスク・原洋介さん
「難病支援は、日本が一番最初なんですよ。高齢化社会が来ていて、シニアがいっぱいいて、シニアの困ったというのは、難病の人を解決すれば全部解決するんですよ。目が見えなくなるとか、耳が遠くなるとか、世界に先駆けて日本がそれを解決できれば、いろんな国で高齢化が起こったときに解決できるんじゃないか。だからここは、その毎日の苦しさを発散する一番楽しい時間」

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。