刺されるとひどいかゆみを引き起こす害虫「トコジラミ」。繁殖力が高く、人の移動で簡単に生息範囲を広げてしまうといわれていますが、その生態とは。そして、インバウンドの増加で被害が拡大する可能性があるなか、防除方法のポイントとは。
嫌なトコジラミ、どこにいる?
9月13日、人に害を与える「衛生害虫」の対策をテーマにした講演会が宮城県庁で行われ、旅館などに衛生管理や指導を行う県の担当者が参加しました。講師はアース製薬北日本支店の管理薬剤師・葛田理沙さんが務めました。衛生害虫は、感染症の原因となるハエやカのほか、刺されると皮膚炎を起こしたりするハチやムカデなどが挙げられます。そのなかでもトコジラミは、刺されるとひどいかゆみを引き起こし、眠れないほどのかゆみとなる場合もあるということです。
アース製薬北日本支店管理薬剤師・葛田理沙さん:
「このように畳の隅やマットレスの端、壁や天井の隙間、宿泊施設だと飾ってある絵の裏側などいろいろな隙間に隠れている」
「暗い・暖かい・狭い」場所
トコジラミは、大きさが5ミリから8ミリ程度で、主に夜間に寝ている人を刺して吸血をします。「暗い・暖かい・狭い」場所を好み、宿泊施設の寝具付近や公共交通機関の座席などにもいる場合があるということです。服や荷物に付着し、旅行や移動などで簡単に生息範囲が広がるとされています。
アース製薬の葛田理沙さんによりますと、トコジラミは日中は隙間に隠れていて見つけにくいことや、トコジラミによるかゆみだと気付かない場合があり、被害が増えてしまう要因の一つだと指摘します。
スーパートコジラミがいた!
また、繁殖力が高いとされるトコジラミ。一部の駆除剤が効かない生き残りが繁殖することで、抵抗性を持った『スーパートコジラミ』が、今まん延しています。世界に存在するトコジラミのおよそ9割が『スーパートコジラミ』とも言われていて、その駆除を業者に依頼すると多額の費用がかかります。
そんななか、高い駆除効果のある市販の商品でも対応ができるようになってきています。くん煙剤やスプレータイプがあり、手軽に予防や駆除ができるということです。アース製薬の葛田理沙さんは、トコジラミは寝ている人から吸血するため、ベッドやソファ周りに潜伏している可能性が高いとして、こうした場所から優先的な処理を勧めています。
トコジラミで風評被害?
このようなトコジラミへの対策が必要となっているのには、インバウンド=訪日外国人の増加が背景にあります。海外からトコジラミが持ち込まれ、今後、被害が拡大する可能性があるということです。
実際に、今回講演会を行ったアース製薬によると、全国から寄せられたトコジラミに関する相談件数は年々増加していて、去年は1年間で975件寄せられたのに対し、今年は6月末時点ですでに823件に及んでいるといいます。海外では、トコジラミが発生した宿泊施設がSNSで拡散されるなど、かゆみだけでなく風評被害による経済的な影響を及ぼすといわれています。
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