「新たなデイサービスの形を作りたい」…先月、岡山県総社市で、地元に住む若者たちが施設を立ち上げました。大人数で取り組みやすい「ラジオ体操」や「脳トレ」といった活動をメインにする施設も多い中、目指すのは「ひとりひとりが挑戦できる場所」一体どんな施設なのでしょうか。

やりたいことを楽しめないと引きこもりや認知症に

「おはようございます」

朝、施設に到着した89歳の男性。スタッフとともにまず考えたのは「きょう挑戦したいこと」です。

「池田さん、きょうは何をしましょうか」

「ドーナツを作る、ドーナツを。自信はあるようでないんです」

総社市に先月オープンしたデイサービス施設、Soda。その特徴は「やりたいことになんでも挑戦できること」です。

利用者が取り組みやすい「ラジオ体操」や「脳トレ」などを行う施設が多い中で、「日曜大工」や「手芸」など、やりたいことをひとりひとりに聞き取り、ニーズに合わせた活動をしています。

施設を立ち上げたのは総社市に住む土井脩平さん29歳。かつてデイケア施設で働いた時に感じた違和感がきっかけになったといいます。

(デイサービスSoda 土井脩平代表(29))
「通所施設で働いていたんですけども、(ラジオ体操など)同じことをやりましょうという流れがありまして、それを楽しめる人もいれば、それでは楽しめない一部の方もいるのも事実で、そうなると、家に引きこもってしまって、認知症になってしまう。これをどうにかしたいと思った」

デイサービスに新たな選択肢を…大学でともに理学療法学を学んだ同級生2人も共感してくれ、立ち上げに加わることになりました。クラウドファンディングで約500万円を集め、オープンにこぎつけたのだといいます。

(デイサービスSoda 中山千香さん(29)(土井さんの同級生))
「高齢者の方に楽しい日々を送ってもらえたらという気持ちがありました。絶対にいい場所になる、必要な場所になると思っていたので」

生き生きとした表情になる場所を目指して

現在の利用者は5人。どのように利用されているのでしょうか。

朝、「ドーナツを作りたい」と話していた男性は、食材の買い出しから自分でしたいと希望しました。

「ご飯に入れるサツマイモは、どれがいいですかね」

今回はドーナツだけではなく昼食も。スタッフの分も作ると張り切っています。料理が趣味ですが、たくさんの人に振るまうのは久しぶりだそうです。

(エプロンを着けた男性を見て)
(デイサービスSoda 土井脩平代表(29))

「あーいいですね」

(土井脩平代表)
「卵、もう一個いります?」
(男性)
「一個でえかろう」
(佐藤大祐記者)
「料理長みたいですね」

(男性)
「きょうは格好だけです」

男性は生き生きした表情を見せていました。

(土井脩平代表)
「(ドーナツが)うまい」

(男性)
「うれしいですな。喜んでいただけて。おいしいですな」

そして、こんな工夫も。地域の子どもたちとの交流の場になればと施設の一角に、駄菓子や本を販売するコーナーを作っています。

(利用者)
「小さい子どもは可愛いですよ」


(デイサービスSoda 土井脩平代表)
「(利用者が)元気になっていく、健康寿命を延ばしていく場所になれるといいなと思っています」

総社市で生まれた新たな形のデイサービス。運営する若者たちと利用者がそれぞれにやりたいことに挑戦し続けています。

(スタジオ)
ー屋号の「Soda」は「そうだ一緒にやってみよう」と、アイデアを膨らませる場所にしたいとの思いから名付けられたそうです。

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