大田市の海岸にポツンとできた巨大な穴、人呼んで「一つ目小僧」。
通常こうした穴は波が石を動かし、少しずつ岩盤を削ってできるものだということなんですが、この穴があるのは海面より高く波が届かない場所。なぜこんな場所にできたのか、専門家もわからないといいます。
自然の生んだミステリー、一つ目小僧の謎に迫ります。

謎を探るべく取材班が向かったのは、大田市温泉津町。
今回のミステリーの発見者・三瓶自然館サヒメルの学芸員・中村さんに案内してもらいます。

草をかきわけ、険しい山道を進むことおよそ15分。
急斜面を下った先にあったのは、美しい日本海の青とコントラストをなす白く平らな岩場。
コアな釣り人がたまに訪れるくらいで、ほとんど知られていない海岸です。

ここで、中村さんが見つけたのが…

三瓶自然館サヒメル 中村唯史 学芸員
「勝手につけた名前なんですけど、一つだけ大きな目玉のような穴があるので『一つ目小僧』って名前つけたんですよ」

「一つ目小僧」、直径およそ2メートルほどの巨大な穴です。
木の枝を突っ込んでみると…

「あ、ここ深いな、こんだけある、ここが最深。」

ゆうに1メートルを越えるかなり深い穴となっていますが、じつはこれ、自然の力が生み出したものです。

三瓶自然館サヒメル 中村唯史 学芸員
「この穴は、波がざばっとやってきて岩のちょっとした割れ目に引っかかった石ころが波の力で暴れることで穴が広がっていくものなんです」

これは「甌穴」や「ポットホール」と呼ばれるもので、波打ち際のちょっとしたくぼみなどに石がはまった際、波が石を動かすことで少しずつ岩盤を削ってできるもの。

全国各地にこうしたポットホールはありますが、一つ目小僧はかなり大型サイズ。
中には複数の岩が入っていて、数千年、数万年という年月をかけてこの深さに達したとみられています。

気が遠くなるような昔から人知れずこの地にいる一つ目小僧。
しかし、中村さんはある不可解な点を指摘します。

三瓶自然館サヒメル 中村唯史 学芸員
「本来こういう地形って海面と同じ高さで波が岩を削ることで出来ていく地形なんですよ。ところがここって海面より4~5メートル高いんですね、なんでこんな高いところにこの穴があるのか。」

1つめのミステリーは、「海面からの高さ」。
ポットホールは波の力で作られるため、海面に近い高さでできるのが一般的。
しかし、この場所には波が届きません。
海が荒れやすい冬の間だけはこの高さまで波が打ち付けることもあるため、非常に長い時間をかけて作られた、という可能性もなくはないそうですが…

三瓶自然館サヒメル 中村唯史 学芸員
「そういう古い時代となると10万年以上前の地形なんですよね、そうするとここの岩って比較的柔らかいんですよ、もっとデコボコになってるんじゃないかな、古いにしてはえらくきれいに平らだなってのは疑問点の1つ」

もう1つの可能性として考えられるのが…

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