海上自衛隊のある部隊についてです。戦後、海の安全を守るために行なわれてきた海の爆発物の処理=掃海。現在も、その任務を担う部隊の女性隊員に密着しました。

呉港の入口で、ほぼ毎日行なわれているのは、海上自衛隊・呉水中処分隊、通称EODの訓練です。水中の爆発物を探知・処分するためのものです。部隊で唯一の女性隊員・桑村きらり 3等海曹は、EODに入隊して3年目です。

呉水中処分隊 桑村きらり 3等海曹
「水泳は小学校入る前からやってました。得意です訓練の中では」

「3・2・1…発火」

戦時中、アメリカ軍は日本の艦船に損害を与える目的で瀬戸内海などに多くの機雷を設置しました。

1954年に発足した海上自衛隊の重要な任務の1つが、その機雷を処分=掃海によって、船が安全に航行できるようにすることでした。掃海は、戦後80年近く経っても続いていて、呉水中処分隊は現在も年に2~3回出動しています。

音の反響を聞き分けて捜索「ベテランは魚が通ったことも分かる」

呉水中処分隊 森田敏郎 隊長
「今、掃海がある程度できているので、船が安全に航行できているけど、港の近くとかで発見されず眠っているものもあるので…(旧日本海軍・陸軍の)爆弾・砲弾などをわれわれが直接、処分する」

EODは、数十人の隊員で構成されています。基本は少人数の班ごとで行動し、訓練、機材管理などをしながら24時間体制で緊急時に備えています。

これは、海中で音の反響を聞き分けて捜索するための機雷探知機です。

桑村きらり 3等海曹
「機雷に反応すると救急車のようなピーポーピーポーと音がする(岩や砂には?)反応します(音は違う?)違うけど、似ているので間違えやすい、特に岩が。ベテランは魚が通ったのがわかる。わたしはそこまでわからない」

発見された爆発物は、現場で処理されるか、爆発の危険のないものは海から移動した後で処分されるそうです。

桑村きらり 3等海曹
「ここの中に空気を入れて、200キロまでのものを水面まで持ち上げる」

機雷は、船に接触して爆発するだけでなく、音や磁気などに反応するものもあります。このため、空気ボンベは磁気を帯びないアルミ製です。

桑村きらり 3等海曹
「鉄のボンベよりアルミのほうが軽いので、わたし的にはうれしいです」

部隊のムードメーカー 休日は趣味を楽しんでストレス発散

桑村さんは、仕事の空き時間も自主的に体力トレーニングをしています。

桑村きらり 3等海曹
「潜水器材がすごく重い。筋力あったほうが軽く持てるかなと思ってやっています」

同僚隊員に桑村さんについて聞いてみました。

先輩隊員 長藤大介 2等海曹
「負けず嫌い。(泳力訓練など)最後まで力を出しきる隊員なので、私も負けるところがある」

同僚隊員 中村大介 2等海曹
「仕事の時は厳しいけど、プライベートでは同じ年なので遊んでいる。彼女は(お酒が)強くて、けっこう飲む」

桑村さんは、EODのムードメーカーのようです。

休みの日は、さまざまな趣味を楽しんでストレス発散をするそうです。

桑村きらり 3等海曹
「EODの仕事は、間違いが大きな事故や命に関わってくるので、不安に思うことがけっこうある。疲れているときに来ると(ヨガは)すごく身体と心にリラックス効果がある」

桑村きらり 3等海曹
「海が好きです。プライベートでも来るぐらい好き」

桑村さんは、小学校4年生でスキューバーダイビングを経験したことが、今の自分につながっているといいます。

桑村きらり 3等海曹
「(海の中が)ものすごくきれいで、小4ながらに『人生変わったな』と思ったんです。それがきっかけで…。平和であり続けるように、EDOとしても海上自衛官としても、日本の海を守っていけたらなと」

機雷に反応しないように、可能な限り音を立てずに入水

この日、機雷処分を想定した訓練が行なわれました。機雷は、『死なない兵器』と呼ばれます。

上官 上田繁 2等海尉
「発見される爆発物の爆薬は、ほぼ機能しないといわれています。100%そうなのか?というと、状態を見ないとわからないない。動かせるものか、海中で処分しないといけないものかを判断しています」

この潜水具は、半閉式スクーバ。海中で呼吸の泡をあまり出さない構造になっていて、静かな潜水作業を可能にしています。

EODは、機雷に反応しないよう、可能なかぎり音を立てず入水します。桑村さんは、視界の悪い中、ハンドソーナーの音だけを頼りに訓練用機雷を探します。

桑村きらり 3等海曹
「(機雷が)目の前にあったら、やっぱり怖いので、そうならないよう慎重に慎重に…。万が一、近かったら、ゆっくりすぐ離れる」

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