9月16日は敬老の日です。年をとっても、スポーツに親しむ方は、珍しくありません。注目したのは山口県山陽小野田市のグラウンドゴルフチーム。

メンバーの中に98歳の現役プレイヤーが2人います。
のびのびと今を生きる2人に話を聞いてきました。

のびのびとグラウンドゴルフを楽しむ高齢者の中にひときわ目をひく2人のプレイヤー。

小川清さんと中山正治さんです。
ともに98歳。誕生日は2週間ほどしか違いません。

小川清さん(1926年・大正15年1月10日生)
「やっぱり難しい。なんべんやっても同じところでバーディーとれんもん。結局、自分との戦いになるね」

中山正治さん(1926年・大正15年1月22日生)
「年取ってからじゃろうね。それとゴルフの場合はハンディってあるじゃん。グラウンドゴルフはハンディはなしじゃ」


グラウンドゴルフはじつは日本発祥のスポーツ。
ボールをクラブで打つところはゴルフと同じですがカップに入れるのではなく「ホールポスト」という直径36センチの輪の中に入れます。

打数の少なさを競うのは通常のゴルフと同じです。
特有のルールとして1打でポストに入れるホールインワンを出せば合計打数から3打引くことができます。
経験が少ない人でも大躍進のチャンスがあるんです。

2人はグラウンドゴルフチーム「厚狭クラブ」の最古参メンバーです。このスポーツを始めたのはおよそ30年前。

仕事をリタイアした後でした。

メンバー
「うまいです、上手です。相変わらず上手で、衰えんですねやっぱね、距離感もいいしすごい」

小川清さん
「山ゴルフ(通常のゴルフ)をやってたから、違和感なしにグラウンドゴルフ入っちゃったからね。29年も続けていられるけどありがたいと思ってるよ、みんなから助けられてね」


中山正治さん
「体力はグラウンドゴルフはそんなに必要ないんじゃないかと思うね、山のゴルフなら体力も必要でしょう。クラブ振り回すからグラウンドゴルフは(クラブが)1本だけじゃからね」

ゴルフより、体への負担が小さいのも高齢者にとっては魅力です。
もちろんそれだけではない、楽しさもあります。

プレイヤー
「毎朝メシを食うて、みんなでここへ来て、みんなで楽しく話をして、へて、会話をしてへて、体のストレスを解消するほが楽しみなほ」

プレイヤー
「みんな和気藹々としてね毎日が楽しい語らいの所です出てくる幸せを感じてから」

しかし、楽しめば楽しむほど、いろいろと凝りたくなってくるものです。

ギアに凝るのはゴルフと同じ


小川さん「(クラブは)カリンかあ?」
金子さん「パーシモンです」
小川さん「樫?」
金子さん「柿。んでフェースはグラスファイバー」

クラブの材質にこだわるのも楽しみのひとつです。


チームの活動は、公園の維持にも一役買っていているそう。
楽しいだけでなく地域に貢献しているという自負もあります。

中山さん
「私なんか営業は時間がなかったですね。営業と言っても夜まで付き合わなきゃならんとかそういうのがありましたからねそういうのが大変だった」


中山さんは現役時代、営業職として忙しい毎日を送っていました。
山口で、九州で、家族と離れ単身赴任生活。


お酒の付き合いもあり不摂生をしていたと振り返ります。一本気な性格から目標を達成しても評価は厳しかったと言います。

中山さん
「やっぱ、偉くなる人はね要領がええ人、私らみたいに上の人でもたてつくくらいの曲がったことが嫌いやから上の人でもたてつくひとは出世しないです」

終戦から高度成長期に会社人生を駆け抜けました。
定年退職後は、親類に誘われて庭師をしていたこともありました。
いろいろ経験しましたが、これまでの人生に胸を張ります。

中山さん
「私は自分の人生はねえ、なんて言いますか悔いはないなあと」

小川さんは謡曲にも夢中

小川さんの姿を山陽小野田市内の謡曲(ようきょく)教室で見つけました。

発表会に向けて稽古に熱が入ります。
小川さんは30歳の頃から謡曲をたしなみ免許皆伝の腕前だそうです。
現役時代は、技術畑で、四国や北陸の所長を任されました。


小川さん
「そりゃやっぱり『モーレツ社員』でしたね。遊び歩くっていうことをしらんかったから」


持ち前の好奇心で状況の変化も楽しんできました。
早期退職したあとも、さまざまな職種を経験し、大工をしていたこともあります。

小川さん
「まあ、あんまりさからわんことじゃね、さからうとなると相手がいやな気持ちになるからそれとよけいにこうなっちゃう」

秘けつは「自然体」

2人が口をそろえる長生きの秘けつは「自然体」であること。
第2の人生、第3の人生と変化する状況を楽しんで前を見て生きること。

人生100年時代。
先輩の背中は、私たちに大きなヒントを示してくれているのかもしれません。

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