島根県松江市の自称「おえかき家(か)」の男性が描くとても優しい雰囲気の絵、
男性は「絵を描くことが『心の支え』だ」と、話します。
そのわけは?
色鉛筆やパステルで描かれたとても優しく、あたたかい雰囲気の絵。
そして、そこに添えられたメッセージ。
「ほんのすこしだけ、すすもうか」
「実はナマケテないんです」
描いているのは、松江市に住む自称"おえかき家"名原隆寛さん、45歳です。
おえかき家 名原隆寛さん
「今、絵を見てくれている方の中に、『名原さんの絵を見ると心がいやされる、ほのぼのする』と言ってくださる方がいるので、そういうのはすごく嬉しい」
「何か、絵を見た人に感じ取ってもらうものがあると嬉しいです」
取材したこの日、名原さんが描いてくれたのは、「亀とチューリップ」。
色鉛筆を使い、ほのぼのとした雰囲気の作品が出来上がっていきます。そして、そこに書かれたメッセージは。
おえかき家 名原隆寛さん
「『ゆっくりゆっくり』『こころのなかをかんじながら』」
Q.どんな想いを込めた?
「『ゆっくりゆっくり』というのは、よく書きます」
「『こころのなかをかんじながら』は描きながら、きょう、考えました」
「取材も初めてで、描きながらちょっと焦ってて、その中で、どうやったらゆっくりできるだろう、と思った時に、自分の心の中をよく確かめて、自分の気持ちを感じながら、ゆっくりゆっくりどうやっていったらいいかなと思って」
そんな名原さん、毎朝、1日の予定やタスクを書きだすことが日課とのこと。
「9時半にテンションコントロールするとか、テンションダウン、テンションを落とすってことですけど、深呼吸とか書いたりしてます」
Q.これは、病気と向き合う中で、自分の中で心を整理する作業?
「そうですね。ひとから「こういうことしてるよ」と結構、聞いたり」
「自分なりのやり方でやってますけど」
名原さん、実は、20代の頃、統合失調症と診断されました。
おえかき家 名原隆寛さん
「ちゃんと治療も受けなかったりしたので、26歳の時に、統合失調症の分かりやすい症状の幻聴が聞こえてきて」
そんな苦しみの中で出会ったのが、絵を描くことでした。
おえかき家 名原隆寛さん
「病気の中で、いろいろ苦しかったりした中で、いろんな人に助けてもらったりした中で、そういう人とのつながりを絵に表したりすることもあります」
今も、治療を続ける名原さん。
絵以外でも社会とのつながりを持とうと、おととしから、松江市内の就労を支援する事業所で働いています。
まるべりーのスタッフ
「優しい人柄なので、皆さんとも話もするし、仕事もまじめに一生懸命取り組まれている」
おえかき家 名原隆寛さん
「まるべりーの時は、仕事のことばかり考えるので、すごく終わった後は、頭がすっきりしてるというのもあって、その後の創作活動もすごく楽しい」
ここでの仕事に挑戦したことで、自分自身の足元が少し固まった気がすると、名原さんは話します。
今、名原さんが手がけているのは、松江市内のお寺で開催する個展に出品する作品。
Qこのサイズ(等身大くらい)の作品を今までに作ったことは?
「ないですないです。最大でこのサイズ(大き目のスケッチブックくらい)です。このサイズが最大なんで、ないです。小さいサイズばっかりなんで。」
Q名原さんの中で大きな挑戦?
「そうです、はい」
名原さんは、統合失調症を患ったことで、絵と向き合い、絵を描くことで自分の人生を変えてきたと言います。
おえかき家 名原隆寛さん
「絵がだんだん自分のいきがいになってきて、死ぬまで描きたいし」
「病気が苦しい時でも、自分には絵を描くっていう生きがいがあるってことが、支えになっています」
そんな名原さんの作品に出合える個展は9月21日・22日、松江市の長満寺で開催されます。
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