長野県内の企業でも進む異業種への挑戦。
自社の得意とする分野を生かし、意外なものを作っています。


まず訪れたのは、上田市の城南製作所(じょうなんせいさくしょ)です。

1000平方メートル以上という広い工場の中で作られている城南製作所の主力製品は
何に使われているかというと。

中澤アナウンサー:
「これドアですね」(窓を開閉する)

いまや自動車に欠かせない、窓に関するこの部品。

城南製作所本社工場長・南澤孝行さん:
「車のドアについているウインドレギュレーターというガラスを上げ下げするものを本社で作っています」


城南製作所では、この装置を国内すべての乗用車のメーカーに供給しています。

国内シェアはおよそ4割。

この分野ではトップクラスです。

中澤アナウンサー:
「今度車に乗ったら想像しながら窓を開けてみようと思います」
「ただ、ここで終わりじゃないんです。きょうはこの後が本題なんです」

それは隣りの建物で作っているといいます。

城南製作所の子会社「Jフレッシュファクトリー」。

建物の中にお邪魔すると、何かを作っているというよりも、何かを育てています。

J Fresh Factoryマネージャー・岡田洋典さん:
「こちらは食べられるお花『エディブルフラワー』を作っております」
「衛生管理をした環境でお花の栽培を行っております」

Jフレッシュファクトリーは今年2月の設立で、食べられる花の生産をしています。

中澤アナウンサー:
「どうしてまたお花を作ろうと思われたんですか?」
岡田さん:
「車の部品を作っている会社なんですけども、車はいま大きな変革期を迎えております」
「われわれがいま運営している工場のノウハウと農業というものを組み合わせた植物工場といったものに着眼をいたしました」

水耕栽培で8種類を出荷している食べられる花。


実は、ビオラや、マリーゴールドなど、普段よく目にする花です。

岡田さん:
「種として特別なものではなく、こういった衛生管理をした環境で作ることで口にそのまま入れても安全に食べられる。生産方法が違うっていう形になりますね」


衛生管理を徹底した食べられる花は、多いときには週に300パックが生産され、レストランや洋菓子店などに出荷されています。

中澤アナウンサー:
「うわーケーキの上に」
「こちらで栽培されているお花たちですか?」
「はい」

衛生管理された環境で栽培していることもあり、そのまま食べてもえぐみなどはあまり感じないと、南澤さんは話します。

中澤アナウンサー:
「マリーゴールドの香りはしっかりして苦みはそれほど感じず花を食べている」
「これたぶんあいみょんもびっくりすると思う。あいみょんに食べてもらいたい」

自動車部品と食べられる花。

製造業で培ってきた品質管理のノウハウが、衛生管理や栽培管理などに生かされています。



本業のノウハウを生かした異業種への挑戦。

続いては、長野市青木島にある「フリースケール」です。

何をしている会社かというと、ヒントはこちら。

大きなケースから出てきたのは折りたたまれた機械。

これにカメラやレーザーを取り付けるといいます。

機械を広げると、先端にプロペラが付いています。

こちらはドローンです。

フリースケール社長・竹内浩一さん:
「うちは3次元計測をしている会社です」

「フリースケール」では工事現場や災害現場を測量し、3Dに図面化するなどの事業を手掛けています。

測量の際には、さきほどのドローンも使います。

竹内さん:
「多いのは山間地。こういった機材を使って計測しています」
「石川の災害もこれを使ってお手伝いさせていただきました」
中澤アナウンサー:
「3次元にすると図面の知識がなくても地形の起伏がよくわかるってことですね」
「これがないときは測量ってけっこう大変でしたでしょうね」
竹内さん:
「結局人間が山を歩いて一つ一つ点をとって測量するということをやってたんで」
中澤アナウンサー:
「伊能忠敬とか大変だったんだろうな」
竹内さん:
「大変だったと思います」

こうした測量で活用される3D技術を応用し、竹内さんは今年から新たな事業を始めました。



中澤アナウンサー:
「何かヒントないですか?」
竹内さん:
「分身です」

その「分身」の作業が行われるという部屋にお邪魔すると。

中澤キャスター:
「えーっ?なんですかこれ」「これが分身の術?」

現れたのは、何本もの細い柱に囲まれた空間です。

フリースケール営業課長・近藤清志さん:
「これはスキャナー本体なんですけども、黒いのが一つ一つがカメラになっていまして一瞬で撮るかたちになります」
中澤アナウンサー:
「360度!」「いくつカメラがあるってことですか?」
近藤さん:
「97台あります」

97台のカメラで撮った写真をパソコンに転送。

それをパソコンで加工して3Dデータを作成します。

そして、このような3Dデータをもとにして作られるのが。

竹内さん:
「こちらです!」
中澤アナウンサー:
「あれ?これ」
竹内さん:
「私になります」


手にしていたのは、10分の1スケールの竹内さん。

測量会社の新事業とは3D技術を生かしたフィギュアの製作です。

中澤キャスター:
「ほらほら裏もしっかり社長ですよ」


スーツのしわやメガネなど細かい部分も表現されています。

また、フィギュアに活用するだけではなく、パソコン上の「分身」は動かすこともできます。

竹内さんは今後、仮想空間でのアバターとしての活用も視野に、3D技術を応用した新事業を展開していきたいということです。

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