震災や大雨災害など全国で起きた被災地で災害ボランティア活動を続けるタレントのなすびさんが、8月に石川県観光大使に就任しました。

県庁での委嘱式

かつて出演したテレビ番組の「懸賞生活」企画は「精神的に辛かった」としながらも、この経験がボランティア活動でも生かされていると話します。

ボランティアセンターに“誰が置いていったか分からない”野菜

福島県出身のなすびさんは、東日本大震災以降、ふるさと福島県で受けた「支援の恩返し」として、熊本地震や西日本豪雨など、災害が発生するたびに、現地でのボランティア活動に参加しています。

元日に起きた能登半島地震でも「何か協力できることはないか」と考え、災害ボランティアに本名で登録して活動しながら何度も現地を訪れています。

石川県輪島市門前町でのボランティア活動(3月)

全国の被災地を見たなすびさんは、能登半島地震について『海底隆起で景色が一変したのは見たことがない』としながら、船を出せなくなった漁師など、生業を失った被災者に思いを寄せます。

取材に応じるなすびさん

その上で、能登の人たちのあたたかさを強く感じていました。

なすびさん「気質が東北の方々と似ているというか『ボランティアしてもらうのは申し訳ない』と遠慮があったり、それは東日本大震災でも同じ感覚だった。でも、打ち解けるとすごく親切で丁寧で。基本的にはお断りはするんですけども、飲み物だったり差し入れをくださったり…ボランティアセンターに誰が置いていったか分からない野菜とか。昔話の傘地蔵じゃないですけど、温かい気持ちはより強く感じられる地域」

辛かった“懸賞生活”での経験が被災地で役に立っ

かつて、なすびさんは出演したバラエティ番組での「懸賞だけで生活する」という企画で人気を得ましたが、1年以上にわたり1つの部屋に1人で生活している様子を撮影される状況は「ものすごく精神的にも辛かった」と話します。

懸賞生活時代を語るなすびさん

しかし、意外にもこの経験が、被災者の辛い気持ちを和らげることに役立ちます。

なすびさん「『毎日冷たいおにぎりとか菓子パンしか食べるものが無くて辛い』って時に、『僕、懸賞生活の時にドッグフード食べてたんですよ』と言うと『そっか。俺らは、お前よりましなのか』と。懸賞生活の経験が、まさかそこでいけるとは思ってなかった。ちょっとでも皆さんの心のストレスが和らいだことで、経験はちゃんと役に立つというか」

辛い経験も未来には役立つ。

ボランティア活動で石川入りしたなすびさん

被災者の声に耳を傾けながら、寄り添う姿勢を大切にしているなすびさんは「絶対一人では生きていけない」と考えています。

その上で、被災地への支援はまだまだ必要だと訴えます。

「復興の応援の仕方というのは絶対ある」

なすびさん「マイナスをゼロにして、ゼロから少しずつまた元に戻ると。プラスアルファという段階は、これからだと思う。過疎や高齢化が進むなか、これだけ若い人や県外の人たちが、ボランティアとして来てくれるってことは、魅力をうまく発信していけばプラスアルファが出来るのではないか。その可能性を感じて何かできることはないかなって思う人はいる」

取材に応じるなすびさん

能登半島地震から半年以上が経ち、関心を持つ人が少なくなるなか、現地でのボランティア活動に限らず、現地の食材や工芸品などいわゆる「買って応援」といった出来る範囲での支援が大切です。

なすびさん「遅い早いとか、状況に応じてあるとは思うが、思い立った時に行動を起こすことで何か見えてくるものが変わってくるかなと。思っていることがいつか形になる。僕は復旧とか復興していく様子を長い目で見ていきたい。復興の応援の仕方というのは絶対ある」

現地の様子を語るなすびさん

なすびさんは、現地で被災者と接しながら、忘れられることへの怖さを感じているようだと考えています。

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