福島県内で長く愛されている老舗の今を伝える「老舗物語」。今回は「冷やしラーメン」で知られる会津坂下町の食堂です。「時代に流されない」4代目の店主がつなぐこだわりの一杯です。

名水を使った琥珀色のスープに、冷水でキリっと締められたコシのある細ちぢれ麺。今回の老舗物語は会津坂下町で80年以上続く「食堂いしやま」です。午前11時。開店の時間を迎えると・・・。

--千葉県から来た家族「冷やしラーメンって大盛できますか?」
--店員「できますよ。」
--千葉県から来た家族「じゃあ大盛一つと、普通が二つで。」

県内外から訪れた人たちで店内はすぐに満席に。お目当ては看板メニューの「冷やしラーメン」です。

--番組スタッフ「お味はどうですか?」
--千葉県から来た家族「冷たくておいしいです。」

冷やしラーメン初体験というこちらの男性は・・・。

--静岡県から来た男性「どうかなと思ったんですけど、ありですね。超あり。夏っぽい。」

--福地隆史さん(食堂いしやま4代目)「この冷やしラーメンのおかげで、この食堂もずっと代々渡って、続けられているなと実感しています。」

こう話すのは、4代目店主の福地隆史さん。5年ほど前に店を継ぎ、現在は3代目の父・隆一さんと母・三和子さんの3人で店を切り盛りしています。

看板メニューである冷やしラーメンが誕生したのは、いまから70年以上前の1952年、昭和27年の冬。「するすると食べられ、熱を下げる食べ物を食べたい」。風邪を引いたお客さんの注文を受けて、福地さんの祖母、2代目のミナさんが考案しました。

--福地さん「『これはおいしいから絶対メニューにした方がいいよ』というようなお話を頂戴しまして(メニューに加えた。)」

スープのベースとなる「かえし」は、チャーシューの煮汁に町内で作られたしょうゆを合わせたもので、およそ70年間、つくり方を変えていないといいます。

--福地さん「脂はきれいに取り除いて、豚のうまみだけが、このタレの中に凝縮されて、しょうゆとあいまっていいかえしになっています。」

そして氷やスープの素となるのは、日本名水100選に選ばれた磐梯町の龍ヶ沢湧水です。

--福地さん「この水自体ものすごく不純物のないきれいな水なので、当然氷も溶けにくいし、溶けても水道水くさくない。」

多くの人に愛され、店の看板メニューとなった冷やしラーメン。福地さんは父の背中を見ながら、その味と歴史を受け継いだといいます。

--福地さん「(父は)『俺の姿をみて覚えろ』というような形がどちらかというと強い。70年以上続いてきた味を受け継いでいく重さ。これに対して手を抜いたのではいけない、しっかり正面向いてやっていかなくてはいけないというような所に気づかされましたね。」

一方、父・隆一さんは、「これからも感謝と店の味をつないでほしい」と話します。

--隆一さん「先代が作った70年前の味を変えない努力。お客さんに対しての感謝と、お客さんが求める昔ながらの味、そういうものをつなぎとめてもらいたい。」

冷やしラーメンとともに歩み、多くの人に愛され続ける「食堂いしやま」。

--千葉県から来た家族「昔から味わっている味なので、本当に楽しく味わえました。」

--会津若松市から来た人「おいしいですね。ここ1回食べておいしかったので、リピーターみたいな感じで。夏になると1回は来るみたいなそんな感じです。」

福地さんは、これからも変わらない老舗の味を未来へつないでいきます。

--福地さん「景色が変わっても、時代が変わっても、流行り廃りに流されない、いしやま食堂のスタイルを突き詰めていきたいと思います。」

『ステップ』
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2024年9月13日放送回より)

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