石川県珠洲市蛸島町の高倉彦神社に伝わる同県無形民俗文化財「早船狂言」が11日、神社近くの蛸島漁港で披露された。境内にある本来の舞台は能登半島地震で被災したため、港に特設舞台を設置し、次世代を担う若者が伝統を継承した。

漁港に作られた舞台で披露された早船狂言=11日、石川県珠洲市蛸島町で

◆21歳コンビが大役、5基のキリコが集結

 早船狂言は、長さ4.5メートルの「早船」を舞台に置いて披露する狂言で、同神社の秋の大祭の一環として執り行われる。地元出身の東京農業大3年桜田慎太郎さん(21)=東京都世田谷区=と会社員北浜翔喜さん(21)=石川県野々市市=が大役を担った。  2人が先人に指導を受けたり、過去の動画を見たりしながら練習した独特の動作に合わせて声を張り上げる姿に、観衆は紙吹雪を舞わせたり、手拍子したりして盛り上がった。狂言を見守った珠洲市蛸島町の会社員田喜知剛さん(59)は「今年もできてよかった。感無量」と話した。  狂言の会場となった漁港には5基のキリコが集結した。同市観光交流課が把握している限りでは、地震以降、市内で初めてのキリコ祭りとなった。(高橋信) 

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