2023年7月から3回にわたり、富山県警察本部の倉庫から手錠や拳銃入れなどの装備品を盗んだとして、建造物侵入と窃盗の罪に問われている元警警部補の男の初公判が9月5日、富山地方裁判所で開かれました。

起訴内容を認めた元警部補の男は、なぜ盗んだ装備品をコレクションしていたのでしょうか…、さらに隠していた装備品を転売するに至った背景に何があったのでしょう?

建造物侵入と窃盗の罪に問われているのは、富山市清水町の元富山県警警部補、宮崎伸一朗被告(43)です。

起訴状によりますと、宮崎被告は、2023年7月から11月の間に県警本部の倉庫に侵入し、倉庫にあった拳銃入れなど合わせて6点を盗んだ罪に問われています。

9月5日、富山地裁で開かれた初公判…。

検察は冒頭陳述で、事件の概要として『宮崎被告は同僚の会話から警察本部の倉庫に装備品が保管されていることを知り、2023年の警察本部での当直勤務中、3回にわたり当直勤務室に置いてあるマスターキーを無断で持ち出して倉庫に侵入。保管されていた手錠や拳銃入れなどを盗み出し、その一部をフリマアプリで出品した』としました。

5300万円のローンに行き詰まり…倉庫から盗んだ装備品を売却

宮崎被告は、2019年に住宅ローンを組んで自宅を新築。その頃から住宅ローンの返済を始めましたが預金が次第に目減りしていき、2021年9月から生活費の支払いをカードローンで賄うようになっていきました。

そして、趣味で収集していた警察の装備品をフリマアプリで出品して売却していたところ、遅くとも2022年1月ごろから勤務先から持ち出した装備品も出品して売却し、生活費やローンの支払いに充てるようになったということです。

検察の冒頭陳述に対し宮崎被告は「間違いありません」と、起訴内容を認めました。

続いて検察は、宮崎被告は妻と二人暮らしで5300万円の住宅ローンがあり、フリマアプリで出品した261件のうち56件が富山県警から盗んだ備品で、転売した利益は155万円以上にのぼると指摘しました。

被告「廃棄されていくのがもったいない…」「妻を養っていかないと…」

被告人質問で備品を盗んだ理由について問われた宮崎被告は「最初は自分の好きな物をもったいないと思って、持ってきてコレクションしていた。ダメなことだったとわかっていたが、もともと自分たちが使っていて愛着ある物もあり、廃棄されていくのがもったいない」と語りました。

そして、妻に本当のことを言えなかったことが一番の問題点だと思うと主張しました。

以下、弁護人からの質問…

弁護側:どうして盗んだのですか?
宮崎被告:生活が苦しくてそれを妻にうち開けることができませんでした。

弁護側:なぜ打ち明けなかったのですか?
宮崎被告:妻に心配をかけたくないと思いました。尽くしてくれていることがわかっていたので…。

弁護側:今回の問題点は?
宮崎被告:妻に(家計が)苦しいと、本当のことを言えなかったのが問題だったと思います。公務員の私が妻を養っていかないといけないと思っていました

被告の妻「もっと話し合える環境だったらよかった」

また、今回の裁判では、宮崎被告の妻も証言台に立ちました。妻は盗んだものが数多く自宅にあったが、盗んだものとは気がつかなかったといいます。

弁護側:事件を知りどう思いましたか?
被告の妻:夫の気持ちを考えるともっと話し合える環境だったらよかったです。

弁護側:発覚後に夫にどんなことを聞きましたか?
被告の妻:はじめは倉庫に入っているものがまだ使えそうだからもったいないと感じていて、直してまた使おうと思っていたと…。実際(夫は壊れた備品を)直して使っていました。

弁護側:はじめはもったいないということだったが、途中から目的が変わった?
被告の妻:最初はドキドキしながら盗んでいましたが、気づかれないことから少しずつ大胆になっていったと…。夫の興味があるもので趣味で持ち帰ってきていた

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