原告の半分以上の訴えを棄却した9日の長崎地裁「被爆体験者訴訟」の判決を受け、長崎市長らが11日厚労省に緊急の要請行動を行います。

市などによりますと「被爆体験者訴訟」の判決後の対応について、11日鈴木長崎市長と市議会議長、そして長崎県が厚生労働省を訪れ要請行動を行うということです。

9日に長崎地裁で言い渡された「被爆体験者訴訟」の判決では、被爆後に「黒い雨」が降ったと認定した爆心地東・風下地区の元住民だけを「被爆者」と認める判断を示し、原告44人のうち15人に被爆者健康手帳の交付を命じる判決を言い渡した一方、29人の請求を棄却しました。

判決では長崎原爆で広範囲に降り注いだ「灰」については「放射性物質であったか否かは定かではない」として明確な根拠は示すことなく雨と灰を区別する判断を示しており、原告らは「『黒い雨』は放射性微粒子のひとつの例。なぜ雨で区切るのか?」「被爆者を『黒い雨』の範囲に閉じ込めるための判決」などとして反発しています。

岸田総理大臣は先月9日の長崎原爆の日に被爆体験者と初めて面会した席で、被爆体験者問題の「合理的解決」を厚労大臣に指示しています。

原告を分断した判決が解決の内容にどのような影響を与えるのかは不透明で、長崎市長らは厚労省に対し15人の勝訴判決確定を求めると共に、被爆体験者を広く救済する解決策について要請するとみられます。

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