国が定める被爆地域の外で原爆の放射性微粒子を浴び被ばくしたと訴えている「被爆体験者」44人が、長崎県・長崎市を相手に被爆者への認定を求めている裁判の判決が、きょう長崎地方裁判所で言い渡されます。被爆体験者制度は国が2002年度に始めた単年度予算事業で、爆心地から半径12キロ圏内の被爆地域に含まれていない地域にいた人たちのことを指す国の造語です。
原爆がさく裂した時に燃え残ったプルトニウムや爆心地周辺から巻き上げられた放射能を帯びた土やがれきなどの「放射性微粒子」が拡散し、灰や雨として降り注いで被ばくしたと訴えています。
被告には長崎県・長崎市のほかに訴訟参加人として国も参加しており、被爆地域以外には原爆放射線の影響は及んでいないと反論しています。
最大の争点は被爆者援護法が定める「3法被爆者」に該当すると認められるかどうかです。
3号被爆者は「身体に原爆の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」と定義されており、広島では2021年の広島高裁判決で、被爆地域の外で「黒い雨」を浴びた人たちが該当すると認められたことを機に「黒い雨」被害者を救済する新基準が2022年度から運用されており、判決が
広島と長崎の格差解消につながるかも注目されます。
またことし8月9日の長崎原爆の日に、被爆体験者と初めて面会した岸田総理大臣は「合理的に解決できるよう」厚労大臣に指示を出しており、判決内容が「合理的解決」の中身に影響を及ぼすとみられます。
被爆体験者訴訟は2007年に提訴され、原告は最大556人に上りました。しかし、最高裁まで争った末敗訴しており、当時の原告のうち44人だけが再提訴してきょう判決を迎えます。
79年間認められていない、長崎原爆の放射性微粒子による被ばくについて、司法はどの様な判断を示すのか?判決は9日午後2時から長崎地方裁判所で言い渡されます。
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