宮城県丸森町出身の三重大学の大学院生、天野未空さんは、近年、「新しい高気圧」の出現により東北地方に冷夏が起きなくなっているとする研究論文を去年、発表しました。

新しい高気圧「南北傾斜高気圧」

この新しい高気圧は、夏の間、太平洋高気圧よりも北の海上に現れ、さらに北にあるオホーツク海高気圧から吹き出す冷たい北東の風「やませ」をブロックする働きがあります。このため東北地方に冷夏ではなく猛暑をもたらすようになるとしています。

この高気圧は、上空では中心が北の方に傾いているため、天野さんは南北傾斜高気圧と名づけました。

南北傾斜高気圧、去年・今年も発生したのか?

論文に載せたのは2022年までの解析でしたが、その後、去年と今年についても調べたところ、いずれも南北傾斜高気圧の発生が確認できました。

三重大学大学院 天野未空さん:
「2010年以降、この南北傾斜高気圧の発生、そして偏西風の蛇行傾向というのが続いています。この状況から考えると、今後も同じような状況が続いていき、夏については厳しい暑さが続くのではないかと考えています」

かつて宮城県内では、1993年のようにオホーツク海高気圧が張り出して、やませの影響で冷夏になることもしばしばありました。

オホーツク海高気圧、過去60年で最弱に

ところが、今年の夏はこのオホーツク海高気圧がほとんど現れず、天野さんの分析では、過去60年あまりの中で最も弱かったというデータが得られました。

三重大学大学院 天野未空さん:
「“過去イチ”だったのかというのが第一印象ですね。やませがそもそも吹かなかったと考えられます。夏を冷たくする要因がなく、厳しい暑さにつながった」

また、宮城県沖では、去年、今年と海面水温が平年より異常に高い状態が続いていて、これも猛暑の要因のひとつと考えられています。天野さんは、現在、このように海面水温が高い状態で冷たい風を吹かせるオホーツク海高気圧が発生したら夏の天候はどうなるのか、という研究に取り組んでいるそうです。

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