長野県内の夏山シーズンの遭難者が125人と過去10年間で最も多くなりました。
「体力面でのミスマッチ」による疲労での救助要請や「道迷い」なども目立ちます。

山岳遭難 緊迫の救助現場 

北アルプス白馬岳で救助された女性は、下山中に熱中症が原因と見られるけいれんを起こし、行動できなくなりました。

標高およそ1750メートルの登山道で、県警山岳遭難救助隊の隊員が、ヘリから降下し救助にあたりました。

救助隊:「まだちょっとけいれんしているかな」「私と一緒に上がるからね」

救助隊:「全く腕はきかない?」
女性:「ひらけない」

救助隊「水はどれくらい飲んだの?」
女性「結構(飲んでいた)」


女性は病院に運ばれたものの、大事には至りませんでした。

相次ぐ遭難 夏山登山は遭難者が過去最多

県警によりますと、県内で今年の発生件数は9月1日時点で224件で、23年に比べ26件増加しました。死亡した人は12人増え36人。特に目立つのが、60歳以上の登山者の遭難で全体の4割余りを占めています。

このうち、夏山シーズンを見ると、7月から8月末までに発生した山岳遭難は116件で、遭難した人は過去10年で最多の125人に上りました。

今年の夏山では、下山中に疲労で、行動ができなくなるケースが目立ちます。
そして、道に迷っての遭難も増加しています。

道に迷っての遭難 経験浅く引き返せず

道に迷い救助された男性が当時の状況を語りました。

登山歴は?
遭難者:「始めたばっかりだった」

いわゆる初アルプスですか?
遭難者:「そうですね、3つくらい山に登った程度です」

初アルプスで道に迷い…その時の行動は

男性は今年6月、中央アルプスの千畳敷から入山。木曽駒ヶ岳を経由して下山する際に道に迷い、霧と残雪で行動不能になりました。

なぜ遭難したのか?
遭難者:「今回行ったコースは誰かが前回行っている記録を見て、それをまねして行った、(通ったルートを)そのまま戻れば良かったんですけど結構な崖で、そこをまた登るのは大変だなと思ったので別のルートを通った、体感的には何時間も歩いている感じだった」

登山経験が豊富でも山岳に潜むリスク

一方、経験豊富な登山者にも遭難のリスクはあります。

10年以上の登山経験を持ち、山の魅力を発信する登山ユーチューバーの「やぎちゃん」。4年前、北アルプスを登山中に危機に直面しました。

登山ユーチューバー・やぎちゃん:
「紙の地図を途中で落としてしまって道が分からなくなったことがあった、その時にこっちの方かなと思って勘で進んでいったら違う場所にたどり着いてしまった」

山では体調の管理が重要と指摘します。

登山ユーチューバー・やぎちゃん:
「一気に標高をあげると急に酸素が薄くなったり、気圧が低くなったりして頭が痛くなってしまう、しっかり睡眠を取って水分取ってこまめに休憩をはさみつつ、少しずつ登ることが大切だと思う」

オリジナルソングで注意呼びかけ

長野県警山岳安全対策課の中山聖次長は、北アルプス涸沢カールで「オリジナルソング」を弾き語りして遭難への注意を呼び掛けています。

「命の道しるべ」(作詞:長野県警山岳安全対策課 作曲:中山聖)

「あなたが登りたい山は果たして登れる山ですか?」
「山にベテランはいない過ぎた挑戦は命取り」
「登山計画書は愛する君へのラブレター 君のもとに帰るための命の道しるべ」

秋の紅葉シーズンに入る信州の山。遭難を防ぐためには事前の準備を入念に行い自分の体力にあった、日程やコースを選ぶことが重要です。

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