西鉄天神大牟田線は12日で開業100周年を迎えました。天神大牟田線は福岡(天神)を拠点に久留米・柳川などを経由し、大牟田までの74.8キロを特急で約1時間で結ぶ路線で、本線のほかに二日市から太宰府までを結ぶ太宰府線と甘木線もあります。福岡県を南北につなぐ大動脈として沿線住民の生活を支えてきた天神大牟田線の歴史を懐かしい写真と映像で振り返ります。

RKB本田奈也花アナウンサー「西鉄天神大牟田線の開業100周年を記念したたラッピング電車がきょうから運行を開始します。車体には電車のつり革をモチーフにした双子の新キャラクター「ガタンコ」と「ゴトンコ」が描かれています。」

西鉄福岡駅では12日午前、天神大牟田線開業100周年のイベントが開かれ、記念のラッピング電車が披露されました。

大正から昭和へと時代が移り街が活気にあふれていた1920年代都市部では華やかな服装に身を包む人も見られました。今からちょうど100年前のきょう1924年4月12日、西鉄天神大牟田線が開業しました。最初の車両は木造でした。

福岡鉄道史料保存会吉富実理事長「木造ですけど最初から時速80キロ以上の運転ができるような高速仕様の電車になっています。」

元西鉄の社員で、定年後に福岡鉄道史料保存会を立ち上げた吉富実(よしとみみのる)さんです。

福岡鉄道史料保存会吉富実理事長「これが福岡駅ですね。今のパルコの位置ですね。第一次世界大戦が終わってすぐくらい。ちょうど今から100年前に大牟田線が開業して、これは開業した頃の写真です。」

当初は、福岡ー久留米間で開業した天神大牟田線。当時の久留米駅の写真を見ると…。人力車がたくさん並んでいました。

このころの公共交通期間は主に人力車や国が管轄している鉄道。そこに西鉄電車が参入したのです。

当時の貴重な資料が残っていました。

福岡鉄道史料保存会吉富実理事長「これは「特許状」といって、国から『線路をひいて良い』と、大正3年4月6日に内閣総理大臣の山本權兵衞と内務大臣の原敬が大牟田線をつくった会社に与えた特許状です。」



「福岡県筑紫郡住吉町大字春吉」今の西中洲ですね。春吉を起点にして久留米までの軌道特許を出したという書類ですけど、なぜ×になったかというのは、その後大正8年に春吉の起点を天神に変えた。これは非常に歴史的な書類ですね。」

起点の駅が春吉から福岡・天神へと変更。このことが福岡の街を大きく変えることにつながります。

RKB本田奈也花アナウンサー「西鉄大牟田線の駅が天神に出来たことで、百貨店の岩田屋が天神に出来ました街が賑わうきっかけの一つとなりました。」

周囲に商業施設がほとんどなかった当時の天神。西鉄の駅が出来たことで岩田屋が天神に進出するなど街が活性化する一つのきっかけとなりました。

岩田屋進出の翌年、西鉄の前身である九州鉄道は大川鉄道と合併し、大善寺から柳川間を開業。2年後の1939年7月1日に福岡~大牟田までの全線が開業しました。

福岡鉄道史料保存会吉富実理事長「当初は熊本まで沿線する計画がありましたが、政治的な思惑の不一致があったのと戦時下になって取り下げに。福岡県の中部から南部を縦貫する『都市間高速鉄道』この地域の社会とか経済に対する影響というのは非常に大きい」

大牟田までつながったことで沿線では住宅の開発も進み、通勤・通学の足となっていきました。

天神大牟田線を学生時代に利用していた、福岡鉄道資料保存会の研究員・平田利光さんです。

福岡鉄道資料保存会の研究平田利光さん「私が19歳、大学生の時の定期券です。49キロで1万160円ですね。そしてこれは私が昔使っていた時刻表。列車がどこにいるか一目で分かるダイヤグラムです。犬塚を7時54分くらいに出まして、8時50分ごろに福岡の天神に着く。45年以上のつき合いなので、生活の中にずっとあったような気がします。」

RKB下濱美有記者「西鉄天神大牟田線春日原駅近く、年季の入ったベージュの建物が見えてきました。実はこの建物、開業当時つまり100年前からこの場所に建っているんだそうです。」

天神大牟田線の「心臓」として、100年間に渡って支えてきた春日原変電所です。

西鉄鉄道事業本部施設部古賀史朗電力課係長「電力会社から2万2千ボルトの交流電気を購入しまして、ここの変電所の中で直流の1500ボルトに変換をして、電車の電気、駅とか踏切に使う電気に変えて送り出す。電車を動かすための心臓部。」

大正時代の電車は600ボルトが主流でしたが、西鉄はより速度が出る1500ボルトを開業時から採用しました。

現在、多くの駅で進んでいる線路の高架化。より早く、より多くの乗客を輸送することが可能で、西鉄は開業時からこうした速度の早い電車を運行することを見越していたため、1500ボルトを採用したということです。

利用者は1992年にピークの年間1億2700万人を超えました。

3月には新駅「桜並木駅」が開業するなど利便性の向上を目指している西鉄天神大牟田線。

一方、人口の減少に伴い、利用者も減っている駅もあり、今後、路線をどう維持していくのかも課題となっています。西鉄によりますと2022年度の天神大牟田線の輸送人員は1日平均23万2000人、年間8483万人で、ピーク時より約4200万人減っています。こうした現状を少しでも打開しようと、西鉄は新たな取り組みも行っています。

今年で運行開始から5周年を迎えた「THE(ザ)RAIL(レール)KITCHEN(キッチン)CHIKUGO(チクゴ)」

地元の食材にこだわった料理が楽しめる観光列車で、3月からは太宰府でおよそ80分停車する新しいコースでの運行も始まっています。

そして、自転車を車内にそのまま持ち込める「サイクルトレイン」も導入されています。

持ち込み料300円で土日・祝日のみですが、西鉄の公式LINEアカウントで事前に予約すれば、持ち込み料300円で利用できます。

また、西鉄はきのう、PayPayドームでホークス戦がある日に、福岡(天神)駅発の有料座席列車を運行すると発表しました。1日3便で1便あたり200席を運賃とは別に300円で販売します。二日駅まで11駅には停車しません。まずは4日間で実施してみて、利用客の反応を見て今後どうするのか検討するということです。

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