人口の減少が続く青森県で企業の深刻な問題となっているのが後継者不足です。その解決策の1つとして企業の合併と買収=M&Aの需要が増しています。

実際に譲渡した企業の判断を取材しました。

需要が増加する「M&A」

蓬田村の土木工事業「田浦建設」。創業は1980年で現在、従業員は8人いますが、経営者が高齢になり事業承継を検討してきました。このほど、M&Aが成立し84歳となる桶田武会長は成約式に臨みました。譲渡先は青森市の配電工事業「アペック」です。

田浦建設は全株式を購入され、アペックの子会社として事業を継続します。

田浦建設 桶田武会長(84)
「(社長へ)若い人らに会社を譲ろうって話をしたら、まだいまの若い人らは無理だろうと。だったらどこかに頼むということで、(成約して)よかったと思っています」

アペックは現在、収入源が配電工事だけであるため事業の多角化を図ろうとしていたところ、今回マッチングしました。

後継者の不在率「61.2%」と全国で10番目に高い青森県

アペック 高橋知道社長(41)
「地域のインフラを守る使命感が当社と同じ思いを持っているところもありましたので、(M&Aを)ぜひ進めていきたいと思いました」

これから急速に人口減少が進む見通しの青森県で、各企業が「M&A」を検討する機会は増えていきそうです。

帝国データバンクによりますと、2023年12月時点の調査では青森県の社長の平均年齢は全国で4番目に高い62.2歳で後継者の不在率は61.2%と全国で10番目に高くなっています。

このため、今回のマッチングを成約させた日本M&Aセンターは、協議開始のハードルをより低くしたいとしています。

日本M&Aセンター東日本事業法人1部 太田亮部長
「(M&Aは)身売りみたいな感覚を持つ企業もまだまだ多いので、実際は企業の存続と発展に貢献する非常に有効な経営戦略が『M&A』だということをしっかりアピールしていく必要性は、ますますこれからあると思っています」

人口減り続ける青森県で企業の存続と発展を探る

田浦建設では今後、社長と会長は退任する予定ですが、今回のM&Aで従業員や取り引き先に変更はなく、新たな経営者のもとで事業を発展させるチャンスと前向きに捉えています。

田浦建設 桶田武会長(84)
「電気工事をやっている会社だから、これから発展すると思っていますので、うちの若い人も、それなりに電気の仕事に携わったら少しは良くなると。継続して仕事はあるので、(会社は)ずっと続いていくのではないか」

M&Aは、人口が減り続ける青森県で企業の存続と発展を探るための手段として、重要性が増加していきそうです。

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