ファイターズの連勝を陰から支える、知られざる裏側に密着しました。

エスコンフィールドで踊るグラウンドキーパーは、いったい何者なのか。そして、なぜ踊るのか。
そこには、ファイターズ戦を支える職人たちの技と情熱がありました。

依頼人(アッキーさん・30代・札幌在住)
「エスコンFに野球観戦に行くと、いつも踊るグラウンドキーパーを見かけます。何者なのでしょうか?」

エスコンフィールド北海道と言えば、2023年、北広島にオープンした日本唯一の、開閉式屋根付き天然芝の球場。

 現場に行ってみると…。

調査員
「見てください!あそこでグラウンドキーパーが激しく踊っています。いったい何者なのでしょう?」

通常であれば、5回裏が終了すると、ファイターズガールたちが「YMCA」に合わせて華麗なダンスを披露するのが恒例。

しかしその日は、1塁側でグラウンド整備をしていたスタッフが突然、ファイターズガールたちと一緒に激しく踊り始めました。

 一体、このスタッフは何者なのでしょうか。

調査員
「あの人が何者か調べていたんですが?」

ファイターズファン
「グラウンドキーパー?分からない」
「分からない」

やはり、ファンの間でも謎の存在のようです。

そこで取材を依頼してみると…なんと、取材許可が下りました!

さっそく踊るグラウンドキーパーに会いに行ってみると…

こちらが踊るグラウンドキーパー、鵜飼陽太さん(25)です。

調査員
「踊っているのを見たが何者?」

踊るグラウンドキーパー 鵜飼陽太さん(25)
「ただのグラウンド整備をする関西出身の25歳」

実は鵜飼さん、こう見えても正真正銘のグラウンドキーパーなのだ。

それでは、なぜ試合中に踊っているのでしょうか?

踊るグラウンドキーパー 鵜飼陽太さん(25)
「突然ファイターズの偉い人に呼ばれて、きょうから踊ってくれないかと言われたので踊りました」

「おそらくイニングとイニングの間のイベントなどを盛り上げていて、その一環として、グラウンドキーパーも踊ったらおもしろいと声をかけてくれたのかと」

では、グラウンドキーパーはどのような仕事をしているのでしょうか。その1日に密着させてもらいました。

午前10時、試合開始の8時間前からグラウンドキーパーの仕事が始まります。

最初に行うのは芝刈り。

芝は1日に約2ミリ伸びるので、毎日約2時間かけて24ミリにカットします。

芝刈りを終えると、この美しいゼブラ模様が浮かび上がります。

 

 鵜飼さん、この美しい模様に魅せられて、グラウンドキーパーになったといいます。

踊るグラウンドキーパー 鵜飼陽太さん(25)
「プロ野球のスタジアムを見に行ったときに、芝の緑がキレイだったりとか、そこに引かれる白いラインだったりとか、スタジアムの美しさにほれ込んでしまった」

実は、芝の模様にはこんな秘密が…。

グラウンドキーパー 加古暁チーフ
「芝は同じ芝だけど、芝刈り機で倒すことによって、光の反射が変わってくるので、濃いところ薄いところという見え方になっている。見栄えよくが一番だが、作業もやりやすく、打球の転がりを邪魔しない工夫をしている」

午後0時、芝刈りを終えるとグラウンドの整備が始まりました。

内野の土を芝の硬さと合わせるなど、繊細な調整が施されます。

中でも特に注意を払っているのが…。

踊るグラウンドキーパー 鵜飼陽太さん(25)
「今は水分管理に重点を置いてやっている」

 踊るグラウンドキーパー 鵜飼陽太さん(25)
「柔らかすぎたり硬すぎたりすると、ピッチャーが滑ったり、ふんばれなかったりするので、試合の日には何回も水分量のチェックに行って、いいタイミングでシートをかけたり、散水を増やすなど、ピッチャーが最高のコンディションで投げられるように調整している」

午後2時、ファイターズの選手たちが練習を始める前に、ケージを設置し、ラインを引くのもグラウンドキーパーの重要な仕事。

そんな彼らに、森本コーチは…。

北海道日本ハムファイターズ 森本稀哲コーチ
「去年のエスコンフィールド開幕から早いピッチで調整しているのを、毎日、目の当たりにしている。ただひとつレフトだけが芝が傷みやすい。なぜかレフトだけ。大きめの選手が守ることが多いから芝生が傷みやすいのかな。そこもエスコンフィールドに帰ってくると、メンテナンスされている」

確かに、レフトの芝生は傷みやすい箇所で、この日もメンテナンスをしたばかりだったのです。

 グラウンドキーパー 加古暁チーフ
「日照条件の差だと思いますね。周りを建物に囲まれているので、その影響はある。日照条件が悪いところに使うグローライトという機械があって、レフトは重点的に当てるようにしている」

 作業開始から6時間が経った午後4時、ようやく休憩の時間です。

そして午後5時頃から最終的な整備が行われ、午後6時、試合開始。

踊るグランドキーパー 鵜飼陽太さん(25)
「何ごともなく、選手もけががなく、3時間の試合が終わってくれたらいいなと」

試合中は、通路のモニターで展開を確認するものの、ゆっくり観戦している暇はありません。

実は、3回、5回、7回のウラが終わると、すぐにグラウンド整備の出番がやってくるのです。

しかも、整備に与えられる時間は、ピッチャーが投球練習で5球投げ終わるまでの、わずか2分間。

スタッフ20名が一斉に動き、迅速かつ正確にグラウンドを整備しています。

 グラウンドキーパー 加古暁チーフ
「建物は日本一だと思っているので、グラウンドも日本一と言われるくらいすばらしいものにしていきたい」

午後9時、試合が終わった後もグラウンドキーパーの仕事は続く。

プレーの激しさで芝生にはスパイクの痕が残り、そこに芝の種を混ぜた土を丁寧に埋めていきます。

この日の作業は翌日の午前1時過ぎまでかかりました。

踊るグラウンドキーパー鵜飼陽太さん(25)
「今まで見たことないような球場で、大変なことも多いけど、作業をさせてもらえるのはうれしくて、毎日が楽しくて充実感を感じながら、毎日仕事に取り組めている」

華やかなファイターズ戦の陰には、その輝きを支える職人たちの姿があった。


調査結果です。
「エスコンフィールドの踊るグラウンドキーパーは正真正銘の本物でした」

グラウンドキーパーの中で踊るのは鵜飼さんだけで、作業が優先のため毎回踊るというわけではなく見られた日はラッキーかもしれません。

ちなみに鵜飼さん、ダンスの経験があるわけでなく、自己流で踊っているということです。

エスコンフィールドでは、シーズンオフに、内野の天然芝を、メジャーリーグでも使用されている耐久性の高い人工芝に張り替えるということです。

芝の補修にかかる時間を削減することができ、イベント数を増加させる狙いがあります。

ただ、外野は、これまで通り天然芝のままだということです。

エスコンフィールドの天然芝はフラッグシップストアで販売されています。
■エスコンフィールドの芝ポット  2000円

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