京都市内の男性が離婚訴訟を巡る裁判で証拠として提出された娘の心身状態を示した「意見書」について、娘と面会しないなど作成方法が違法だったとして、作成した臨床心理士が所属する大阪市に対して、損害賠償を求める裁判を起こしました。
訴状によりますと、京都市に住む60代の男性は、2006年まで公務員として勤務していましたが、両親の介護のために退職し、以後「専業主夫」として家事や子どもの教育に従事していたということです。その後、大学の医学部に進学した娘が、勉強や演奏活動などで多忙をきわめたため、男性が同居し、2年間にわたり身の回りの世話をしていました。
しかし、同居生活を送る中で、娘が強い抑うつ気分、外出への抵抗、胃酸過多を訴えたため、心療内科を受診したところ、双極性障害と診断され、その後、当時の妻が下宿先を訪れ、「過剰な干渉が原因で娘が心身の健康を壊した。
娘から離れろ」と主張し、2020年に当時の妻が、男性に対し、離婚訴訟を起こしました。
その裁判の中で娘の心身状態を示す「意見書」が作成され、男性の当時の妻の代理人から裁判所に提出されたということです。
「意見書」は男性の当時の妻が勤めていた大阪市の臨床心理士が作成したもので、「2年間にわたる男性の不適切な対応で、娘が心身不調に至った」とする内容だったということです。この意見書は娘が心身不調になった唯一の証拠だったとされています。
訴状によりますと、本来、臨床心理士は対象者と直接面談せず、作成していたということです。男性側は「臨床心理士は心理判定を行う専門職で、面談しない人物について意見を書くことは許されない行為だ」として、心理士が所属していた大阪市に対し慰謝料など約220万円を求め、21日に京都地裁に提訴しました。
提訴に際して、男性は「見知らぬ臨床心理士に勝手に判定を下されるその無念さと、裁判官が証拠採用して離婚を言い渡す理不尽さと恐怖は、きっと誰にも理解できない。臨床心理士のあり方、公務員のあり方を世間に訴えたい」とコメントしています。
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