北方領土の元島民らが四島の近くで先祖をしのぶ「洋上慰霊」が、8月20日から始まりました。
同乗取材で見えてきたのは、元島民の高齢化と「世代交代」です。
参加者
「いってきまーす」
北海道・根室港を出発する北方領土との交流事業のための船「えとぴりか」です。
8月20日、3年目となる洋上慰霊が始まりました。
元国後島民 山田トシさん(82)
「この写真がおばあちゃんです。この写真は父親。できればこの足で上陸したかったんですけど…」
ロシアのウクライナ侵攻で見通しがたたない北方墓参。
元島民の平均年齢は88歳を超えました。
参加した約50人のうち元島民は7人だけ。
多くは、元島民の子や孫です。
出港から1時間あまり、国後島が近づいてきました。
ナギーブ モスタファ記者
「国後島の姿ははっきりとみることができますが、島のすぐそばにはロシアの警備艇がいます」
並走するロシアの警備艇が、近くて遠い島であることを実感させます。
島を前に、力強く手を握りしめる女性がいました。
元国後島島民の妻 西村節子さん
「このお骨は亡くなった主人です。(生きている間に)連れて来られなかったからお骨で連れて来た。元気なころ行きたいなと言っていて、病気で亡くなったので」
目の前に横たわる日ロ中間ライン。
船は、これ以上進むことはできません。
洋上の慰霊式では、1人1人が先祖に思いを馳せながら献花を行いました。
元島民の高齢化が進む中、次の世代が思うことは…。
元国後島民3世 佐藤真妃さん
「数十年前は普通に行けたのに、今は船の上からしか見れなくてすごい悲しい気持ちになった」
元国後島民3世の夫 佐藤史弥さん
「この子たち世代がまた周りに広めてくれるように話をしていきたい」
いつの日か自分の足でふるさとの土を踏みしめたい。
島民の思いは受け継がれています。
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