2024年1月の能登半島地震では、道路の寸断などを理由に海上から多くの支援物資が被災地に届けられました。孤立が懸念されるのは伊豆半島も同じです。
そこで別の港の船を活用して、速やかな輸送につなげるいわば“命のルート”の確保に向けた取り組みが進んでいます。

「訓練開始」

8月6日、御前崎港で実施された訓練です。普段は港の工事を監督する国交省の船ですが、この日に積み込むのは支援物資。目的地は約80キロ離れた下田港です。

<国交省御前崎港事務所 山脇秀仁所長>
「御前崎から下田に支援物資を持っていけるのか、まだやったことがないものですから、それが一番の目的」

海上からの輸送訓練は、災害による伊豆半島の孤立を想定しています。2024年は伊豆半島にとって教訓を振り返る大切な節目です。

今から50年前、1974年に発生した伊豆半島沖地震です。

マグニチュード6.9、死者は30人を数え、南伊豆町を中心に100か所以上の土砂崩れが発生。道路の寸断が救助や復興の大きな妨げとなりました。

<南伊豆町防災室 桑原信孝防災係長>
「こちらに50年前に発生した伊豆半島沖地震についての災害紙を保管してあります」

当時の資料には、海上保安庁や海上自衛隊が海から物資の輸送や救助にあたった記録が残ります。

<南伊豆町防災室 桑原信孝防災係長>
「現在、南伊豆町の孤立予想では、15地区の想定をしています。そこに対する救助をするための海からのルート、空からのルートを検討していくことが課題になっている」

伊豆半島をつなぐ道路は津波の被害を受けやすい海沿いや土砂崩れの恐れのある山間部を走っています。そのため、海からの支援は必要不可欠なのです。

2024年1月の能登半島地震でも海上輸送が活躍しました。日本財団は石川県の金沢港から、大型船で燃料や発電機などを積んだトラックを被災地へと搬入しました。

ただ、能登半島の各地の港で地盤が隆起するなど、安全に着岸できるかが大きな課題でした。

<日本財団 海野光行常務理事3200>
「漁師さんたちに、(漁船に)ソナーを積んでもらって、私たちが入ろうとしている港が本当にこの大きさの船が入れるかどうかっていうのを全部チェックしてもらいました」

能登半島地震の教訓は訓練にも生かされています。

<神谷修二カメラマン>
「御前崎港で物資を積んだ船が今下田港に到着しました」

御前崎港から2時間半ほどで伊豆半島の目的地に到着した小型船。

Q.これがソナー?
「これがソナー(海底測量機)です」

普段、港湾内の監督を業務とするため、水深や海底の様子を調べるソナーを備えていて、「物資輸送」と「安全確認」の2つの役割を担います。

<国交省清水港湾事務所 神原草一郎総務課長>
「我々の船は、22トン、小型船は水深が浅い港でも着岸できる。機動的に動けるメリットがあるため迅速に災害支援に向かいたいと考えている」

<日本財団 海野光行常務理事>
「半島部や離島の災害には船舶を使った支援は有効だと思う」

伊豆半島が抱える孤立へのリスク。港の状況をいち早く把握し、支援のための“命のルート”を確保する準備が進んでいます。

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