国が定めた被爆地域の外で原爆にあい被爆者と認められていない「被爆体験者」らが、今月にも始まる国・長崎県・長崎市との協議を前に20日緊急声明を出しました。

緊急声明文「被爆体験者は被爆者です。その原点に立って被爆体験者問題の解決を求めます」

緊急声明を出したのは長崎の被爆体験者の団体です。被爆79年目のことし8月9日、岸田総理は被爆体験者問題の「合理的解決」に向けた具体策を調整するよう厚労大臣に指示しましたが、その5日後に退陣を表明しており、解決に向けた道筋は未だ不透明です。

声明の中では、被爆体験者支援事業の拡大などに留まるのではないかとの不安が示されており、被爆体験者と支援者は国との協議を傍聴できるよう長崎市に申し入れました。

第2次全国被爆体験者協議会 岩永千代子会長:
「寂しいですよ。何でもかんでもシャットアウト。傍聴もできない、どういう協議がされるかもわからない」

長崎市は、「傍聴の要望は国に伝える」と回答しました。

被爆体験者について、厚労省は「放射線の影響はない」との認識を変えていません。岸田総理が指示した「合理的解決」をどこに定め、その解決に向けた理屈を「合理的・科学的」にどう付けて行くのか現時点で「不透明」としており、NBCの取材に対し「難しい」「方向性のイメージが決まっていない」と繰り返しました。

9月9日には、被爆体験者44人が被爆者への認定を求めて起こしている裁判の判決が控えており、国は「判決までの解決は時間的に難しい」「解決に向けた検討と判決は別」としながらも、「原告勝訴となれば検討する必要が無くなる」「そこで解決する可能性はある」などと述べており、9月9日の判決が被爆体験者の救済の行方を大きく左右する可能性があります。

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