今年5月、北海道北見市内のカレー店が荒らされ現金が盗まれた事件で、常習的に窃盗を繰り返した罪に問われた51歳の男の初公判が20日、札幌地裁で開かれました。裁判で明らかになったのは、刑務所を出た後も、生活を安定させることができずに窃盗を繰り返してしまう男の実態でした。
「自分はどうせ、またやるんだろうなと思っていたので、刑務官の指導も聞いているふり、受けているふりをしていた」
初公判の被告人質問で、裁判官の質問に対し、こう答えた神奈川県出身で住所不定・無職の西河栄治被告51歳。
5月に北見市内のカレー店に侵入し現金約6万円を盗んだほか、札幌市内のサンドイッチ店から現金約10万円を盗むなど常習的に窃盗を繰り返した罪に問われています。
20日の初公判で、西河被告は「間違いありません」と起訴内容を認めました。
冒頭陳述で検察は、西河被告は中学卒業後、職を転々としながら窃盗を繰り返し、窃盗などの前科が複数あったと指摘。今回の裁判で問われている罪は、4月に網走刑務所を出たあと、ネットカフェで寝泊まりしていたときに及んだとしています。
刑務所を出所した時の西河被告の所持金は8万円ほどでしたが、食費やパチンコ代に使い果たし、5月には3000円ほどしかなく、西河被告は盗んだ金で生活していました。
また冒頭陳述では、西河被告は出所した3日後、犯行に使うためのマイナスドライバーを100円ショップで購入していたことが明らかになりました。
検察側の被告人質問で、出所後に仕事をせず生活保護も受けなかった理由を問われた西河被告は「人と接するのが苦手で、役所や面接が苦手。ついそこから逃げてしまった」と述べました。
一方、弁護側の被告人質問では「被害者に対し、本当に申し訳ないことをした」と反省の態度を示しました。
新宅孝昭裁判長から、服役中に更生のための指導を受けなかったのか問われると「教育の場はあるが、自分はどうせまたやるんだろうなと思っていたので、指導も聞いているふり、受けているふりをしていた」と答えました。
そして西河被告は「もう泥棒して生活していける世界じゃない。警察の捜査ですぐ捕まってしまう、そういう世界になっている。前回もそう思ったが、もう一回くらい行けるかなと思ったらダメだった」と話し「今度こそ犯罪を繰り返さない」と述べました。
検察は出所からわずか10日後の犯行は根深い常習性があり、再犯のおそれは非常に高いとして懲役6年を求刑。
弁護側は、今回の事件で服役した後は生活保護を受けることを考えていて、更生の可能性はあるなどとして減刑を求めました。
裁判は即日結審し、判決は27日に言い渡されます。
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