東京電力福島第1原発事故を巡る株主代表訴訟の控訴審第5回口頭弁論が19日、東京高裁(木納敏和裁判長)であった。旧経営陣の1人で、同原発の所長を務めたことのある小森明生・元常務(71)が尋問のため出廷し「言葉に表せない被害を与えたことは大変申し訳なく思っている」と謝罪した。

◆一審判決では賠償責任を問われず

東京高裁が入る裁判所合同庁舎

 小森元常務は2008年6月に同原発所長、10年6月に常務となり事故時は対応に当たった。一審では尋問の実施が決まったが体調不良のため行われず、法廷で証言するのは初めて。  旧経営陣側の代理弁護士から事故前の対策について問われると「津波対策が不十分という認識はなかった」と答えた。  木納裁判長らは10月25日に第1原発構内などを視察し、11月27日に結審予定。  22年7月の一審東京地裁判決は、津波対策を怠り東電に損害を与えたとして勝俣恒久元会長ら4人に計13兆3210億円の支払いを命じたが、事故前年に取締役に就いた小森元常務について、対策を講じるまでには期間が短すぎるとして賠償責任を認めなかった。(井上真典) 

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