打撃あり、関節技ありの総合格闘技に青春をかける高校生がいます。8月10日(土)に開かれたのは、優勝すればプロへの道が開けるという全国大会。ストイックに頂点を目指す夏を追いました。

笑顔の奥に『不屈の闘志』

笑顔がトレードマークの岩川翔輝(いわかわ しょうき)選手、熊本西高校3年生です。

岩川選手が挑んだのが『MMA・総合格闘技の高校生日本一決定戦』、その名も「MMA 甲子園」。MMAとは、打撃あり、組み技・関節技ありの総合格闘技です。

提供:MMA甲子園実行委員会

優勝すれば、プロの団体に推薦される大会。岩川選手はプロへの扉を開くことができたのでしょうか。

「絶対に勝って終わろう」

岩川選手は、日々、熊本市内の道場で汗を流しています。

ーー岩川選手の得意な展開は?
SEIGODOJO 岩川翔輝選手「倒して上から殴って、最後に寝技で一本締め上げて決める」

この日の練習では、寝技に磨きをかけます。岩川選手を指導する道場の井上さんは。

SEIGODOJO 井上誠午代表「1回戦の相手の動画を見たら打撃の選手だったので、しっかり寝かせて、最後はサブミッション(関節技)でフィニッシュしようという練習をしています。(練習は)順調ですね」

61.2キロ以下のバンタム級で試合に出る岩川選手、全国の強豪と戦うことを想定し、一回り以上、体が大きい先輩選手の胸を借ります。

岩川選手「(先輩は?)強すぎます」

先輩選手 永野功大さん「練習重ねるうちに、どんどん強くなって。めっちゃ強くなってる」

競技を初めて2年半。全国大会への出場を勝ち取った岩川選手ですが、去年は公式戦3連敗と負けが続き、プロになる夢が遠のいていました。

それでも…

岩川選手「ここで諦めたら負けたまま終わるのも違うから、絶対に1回勝って終わろうと」

勝つには練習が足りない。

友達との遊びや高校生としての楽しみを封印し、競技に青春を捧げることを決めました。

サポートしてくれる皆のためにも

短いインターバルをはさんで体に負荷をかけ続けるサーキットトレーニング。見た目は地味ですが、かなりハード。

井上代表「きついっすよ、みんな顔が暗いっすもんね」

岩川選手「まじ、きついっす」

ハードな練習の日々を支えているのが、岩川選手の母・直子さんです。体重管理が必須の息子のため、低カロリーでタンパク質が多めの手料理を準備します。

母・直子さん「小さいときは、かわいい かわいい。(親に)付いてくるタイプだった。格闘技がすごく好きなんだろうな。強くなるためには努力を惜しまない」 

この日のメインは岩川選手の好物、豚しゃぶです。

岩川選手「母の手料理が一番うまいんで、これ食っとけば勝てます」
母・直子さん「うれしいです」

全国大会で優勝し、プロになる。

岩川選手は自宅近くの山でのトレーニングを毎日欠かさずやっています。この日も、道場で4時間汗を流した後、山道を走り込みました。

岩川選手「自分がここで勝って上に上がりたいという気持ちと、それをサポートしてくれている皆さんのためにも、絶対に負けられない戦いがあるので」

全国制覇でプロ入りなるか

そして迎えたMMA甲子園の本番。岩川選手の階級には各地の予選を勝ち抜いた4人が出場。初戦の相手は愛知県の選手です。

4分1ラウンドの準決勝。岩川選手は狙い通り打撃が得意な相手にタックルを仕掛けます。

相手をコーナーに追い詰める岩川選手。しかし、なかなか決められません。

両者立ち上がりキックの応酬。その時、岩川選手が倒れ相手に優位な体勢に。

そして試合終了。

岩川選手は判定負けし、日本一には届きませんでした。

岩川選手「緊張が出てしまい、自分の悪いところが出て負けてしまいました」

高校生として出場できる全国的な大会はあと2つ。岩川選手は次の目標に向け走り始めています。

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