去年8月、鳥取県では台風7号による記録的な大雨が降り各地で被害が発生しました。
あれから1年。
中でも甚大な被害に見舞われた鳥取市佐治町では、住民の意識に変化が。そして、災害に強いまちづくりが始まっています。

「ゴーゴーという感じで。道のすぐそばまで濁流が上がってきている。生まれて初めて見た状態なので、その時は恐ろしかったですやっぱり」

そう話すのは、鳥取市佐治町加瀬木に住む西尾佐登美さん。
西尾さんの家は町内を流れる佐治川の近く、少し高い所にあります。

あの日、生まれて初めての光景を目にしました。

安松裕一記者
「鳥取市佐治町の佐治川です。午後になり、一層雨脚が強くなり、ご覧ください。橋に濁流が打ち付けています。」

去年8月15日、台風7号による記録的な大雨。
鳥取県に「大雨特別警報」が出され、鳥取市や八頭町では警戒レベル5の「緊急安全確保」が発表されました。

佐治町では1時間雨量97.5ミリの観測史上最大を記録。
佐治川ダムの貯水量が増加し、ダムができてから初めて緊急放流が行われました。

恐怖の中、避難所で一夜を明かした西尾さん。
翌朝、変わり果てた町を見て言葉を失いました。

西尾佐登美さん
「あちこちの道はないし、土砂は上がってるし、木とかゴミが道に散らばっているし。悲惨だなと思いましたよそれは」

あの大雨被害から1年、取材班が再び町を訪れてみると…。

安松裕一記者
「崩れた道路はご覧の様に車が通れるようになりました。しかし、町のいたるところでは、まだ復旧工事が続いています」

町にはまだいたるところに爪痕が残っていました。
こうした中で、今年も迎えた出水期。
去年の経験から、西尾さんは防災への意識が変わったと話します。

西尾さん
「これはトイレ」
記者
「携帯トイレですね。やっぱり水が使えない、断水もありましたからね」

ラジオや非常食、携帯トイレなど防災グッズを買いそろえ、いつでも持ち出せるようにしています。

西尾佐登美さん
「やっぱりラジオがあった方が、ニュースが聞けていいなと思って、ラジオは真っ先に買いました。
強い雨が降っても去年のことがあるので、ちょっと怖い。防災無線とかそういうのはもう聞き逃さないようにしています」

防災対策への準備は町ぐるみでも始まっていました。

去年12月、地域防災を考える住民主体の組織「災害に強い佐治町創り事業実行委員会」が立ち上がりました。

会長の小谷繁喜さん。
会を組織したのには、佐治町が抱える深刻な問題も背景にあると話します。

災害に強い佐治町創り事業実行委員会 小谷繁喜 会長
「通常でも人口減少が進んでいる佐治に、加えてこうい災害があったということで、さらに人口減少が加速していくのではないかという懸念もある」

若い人からお年寄りまで、誰もが安心して暮らせる町へ。
実行委員会では、今後3年をかけて全ての集落で防災研修会を実施する計画を立てています。

防災研修会は身のあるものにしたい。
7月に開かれたのは、研修会の中身を検討するための模擬防災研修会です。

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