農作業中の男性。先月で100歳を迎えましたが、実は、あるスポーツの世界記録保持者なんです。18日、新たな挑戦を控えた男性のいまを取材しました。
強い日差しが照りつける中、トラクターを自在に操り、自宅裏の畑を耕すのは、鹿児島市の宮内義光さん。御年100歳です。
(宮内義光さん)「いまからここにジャガイモを植えるつもり。これがサツマイモ」「農業は忙しいですよ。ひまはない」
農業を営んできた宮内さんには、実は、もう一つの顔があります。
軽快なリズムで自宅の周りを走る宮内さんは、現役のマスターズ陸上の選手で、世界記録保持者です。
(宮内義光さん)「悪いことができない。どこ行っても知らん人はおらんもん。新聞に出ると、(みんな)全部知っている」
走り始めたのは鹿児島市役所の陸上部に入った24歳のとき。当時はまだ、ランニングシューズはなく足袋でした。結婚後、いったん走るのをやめましたが、63歳で再び走り始め、全国各地のロードレースに出場。75歳のとき、75歳~79歳のクラスの1500メートルで初めて世界記録を出しました。
現在も12の日本記録のタイトルを、95歳~99歳の1500メートルで世界記録のタイトルを持っています。
先月20日、100歳の誕生日を迎えた宮内さんを祝おうと、鹿児島マスターズ陸上の仲間が、集まりました。
(仲間)
「背中もまっすぐでしょ。こんな100歳はいない」
「いまでもラストスパートをかける。挑戦する意欲があるから」
(仲間)「まだ120歳まで生きていい」
(宮内義光さん)「あと10年」「病気をしない。病気に勝つ体。それが大事。頑張って」
(本髙和弘さん・67)「憧れでもあるし、目標でもある。生きざまそのものが影響をもらった。鉄人だなあと」
(内村清子さん・77)「私たちにずっと刺激を与えてくれて、あの人のようになりたいなというのは(みんな)ある。100歳を迎えてすごくうれしい」
仲間の期待は、励みにもなっています。
(宮内義光さん)「あなたがいるから、私も元気になると言ってくれる。僕も頑張らないとと思う」「世界(記録)を。それだけ」
宮内さんは、今月18日に宮崎県で開かれる九州マスターズ陸上大会で、新たな世界記録を目指しています。
出場するのは、400メートル、800メートル、1500メートルの3種目で、100歳から104歳までのクラスでの世界記録が目標。800メートルはこれまでに完走した選手がいないため、完走すれば世界記録になる可能性があります。
ただ心配なのは、65歳のときに転倒して以来、状態が悪化してきた右ひざです。2年前の大会で出場した1500メートルでは、途中棄権せざるを得ませんでした。しかし、今年6月の県大会では、800メートルを完走しました。
(宮内義光さん)「これ(右ひざ)がなければ、バンバン走るんだけど。大会までにこういう練習をしてなんとか頑張るから」「僕はいつも思うの。走るために生まれてきた」
挑戦をいつも見守ってくれていた妻トヨ子さんが8年前に亡くなってからは、長女のひろ子さんが寄り添います。
(長女 ひろ子さん・72)「負けず嫌いだから、足が痛くても大会になったら必ず走る。すごいなと思う。私は無理です」
夕食では健康維持のため、アロエ入りの焼酎と、焼いたにんにくを欠かしません。
(宮内義光さん)「70代から80代、90代と全部(世界記録を)取ってきた。また狙うそれ(世界記録)を。100歳で」
100歳になってなお、宮内さんは挑戦を続けます。
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