岸田文雄総理が8月14日、9月に行われる次の自民党総裁選に出馬しないことを明らかにしました。自民党はどうなっていくのか、政治ジャーナリストの武田一顕さんの解説です。
―――14日の会見で岸田総理は「新総裁のもと一致団結して真のドリームチームを作ってもらいたい」と話しています。なぜこのタイミングで不出馬を表明したのでしょうか?
「会見では、8月13日にモンゴルの首相と電話会談をして、この夏の外交日程にひと区切りがついたので14日に表明したと言っていますが、自民党の中でそれを鵜呑みにしてる人はいません。むしろこの後、自民党総裁選の日程が8月20日に決まりますので、お盆が明けると岸田総理が出馬するのか、やめるのかどうなのかとなり、もしやめるとそこで引きずり下ろされた感じが強くなりますので、一歩先んじて14日に不出馬の表明をしたという見方が大勢ですね。できるだけ自分が決断して早めに辞めたということと、一定程度、影響力を残したいという欲も感じます」
―――8月に行われたJNN世論調査では、「総裁選で岸田総理が続投すべきか?」という問いに「続投した方がいい」と回答したのが17%、「交代した方がいい」が70%と結果でした。裏金問題や旧統一教会の問題などもありますが、別の総裁に代わることで自民党は変われるのでしょうか?
「次に自民党の総裁になる人も自民党の人ですから、大きく変わるのはあんまり期待しない方がいいですね。ただし、岸田総理が辞めることによって『自民党が変わったな』というイメージをある程度植え付けることができるという計算は岸田総理の中にも自民党内にもあります」
―――次の自民党総裁にふさわしいのは誰なのか?14日、関西で65人に聞きました。その結果は、1位が菅義偉氏(17人)、2位が小泉進次郎氏(14人)、3位が石破茂氏(12人)、4位が高市早苗氏(9人)、5位が河野太郎氏(8人)でした。武田さんはこれをどう見ますか?
「菅前総理が1位とは少しびっくりしました。ただ現実には菅前総理は病気もしましたので、再登板は現実には難しいというのが今の菅前総理の体調です」
―――武田さんは誰に注目をしていますか?
「今度の自民党総裁選は派閥がなくなって初めての選挙のため予測するのが難しい。ただ石破茂氏は5回目の総裁選の挑戦で、石破茂氏が総裁になれば、ある程度自民党が変わるイメージにはなるのではないかと思います。ただ派閥を解消したことによって最大派閥を率いている麻生太郎元総理は『石破さんだけは絶対に嫌だ』と動きますから、そうするとなかなか難しいのかもしれません。小泉進次郎氏は若いけども、環境大臣のときの不適正発言とかを聞くと、大丈夫なのかとも感じます。しかし、現実にはこの国会閉じてから次期総裁の候補と呼ばれている人は有力な議員を呼んでは食事会をして『総裁選に出馬したい』ということを匂わせています。その中でどういう議員の塊ができて9月の総裁選に向かっていくのかということになります」
「女性議員も誰かが出馬し候補になると思います。現実を言うと高市早苗氏や野田聖子氏も推薦人を集めるのがなかなか難しいと言われています。仮に推薦人を他の人から貸してもらってでも女性候補はおそらく出馬してくると思います。ただ当選するかはわかりません。それから上川陽子氏は、いったん総裁選のレースから外れたと言われていましたけれど、岸田総理が出馬しないことによって岸田総理の派閥だった上川氏も総裁選に出馬しやすくなる。それから各派閥などの思惑を考えると、上川氏は候補者として乗りやすいんです。なのでこれから出馬してくるんじゃないかと私は見ています」
―――最後に、誰が出馬して誰が総裁になるのか予想をお願いします。
「総裁選には4~5人が出馬すると思いますので、今ところ最有力はなんだかんだ言っても石破茂氏だろうと思います。いつ総理大臣になってもいいという準備はできていますので、推薦人さえ集まれば出馬ということを本人も発言していますので、一番初めに手を挙げたということも含めて石破さんが最有力候補じゃないかなと見ています」
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