岸田総理は、来月行われる自民党の総裁選挙に立候補しないと表明しました。「自民党が変わるために身を引く」と強調しましたが、本当に変われるのでしょうか。

「自民党が変わることを示す」総裁選不出馬を表明

良原安美キャスター:
岸田総理は14日、9月に行われる自民党総裁選に出馬しないことを表明しました。

その理由について「自民党が変わることを示す最もわかりやすい最初の一歩は、私が身を引くこと」「所属議員が起こした重大な事態について、組織の長として責任を取ることにいささかの躊躇もない」と語りました。

では、なぜこのタイミングだったのでしょうか?TBSスペシャルコメンテーターの星浩さんは「総裁選に勝てる展望が見られないと判断したのでは」ということです。

JNNの世論調査を見てみると、不支持が支持を上回る期間が長く続いていました。

最新の調査で「総裁選で岸田総理が続投すべきか?」という問いには「交代した方がいい」と答えた割合が70%に上っていました。

※JNN世論調査
調査:8月3・4日
対象:全国18歳以上 2329人
方法:RDD方式(固定・携帯)
有効回答:1010人(43.3%)

井上貴博キャスター:
「選挙で戦えないからやめます」というのは、バイデン大統領と同じだなという気がしました。岸田総理は、どなたかと相談して話し合ったのでしょうか。それとも、最終的には自分で(決めた)?

TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
最終的には自分だと思います。側近や秘書官の人たちと話はしたと思いますが、それも、きのうおとといぐらいのことで、最終的には自分で決断したんだと思います。

ホラン千秋キャスター:
振り返ってみると、勝てる明るい材料がない中で、岸田総理としては、ここまで自分がやってきたことが裏目に出てしまったというのは、計算外だったんですか。

星さん:
特に裏金問題などで世論の支持が集まらなかったということと、岸田総理の本音としては、この3年間、安倍政治の尻拭いだったという感覚が強いんですね。

統一教会の問題、裏金の問題、それから円安もアベノミクスの余波ですよね。本当に尻拭いするのであれば、もうちょっときちんと鮮明にして対立すればよかったんですが、それも中途半端だという点では岸田総理にも責任はあると思います。

ホランキャスター:
本来やりたかったことは何だったんですか?

星さん:
本来は経済再生、財政再建や軍縮、平和外交をやりたかったんです。そこまではたどり着かないまま、3年間を終えてしまったということは悔いが残るということでしょう。

井上キャスター:
ここまでスパっと自分で身を引くという決断ができるのであれば、裏金問題の時にもっと踏み込んだ説明をすべきで、第三者委員会を立ち上げるなどしていれば、支持率も変わったのではないかと。なぜそのときに、そのベクトルに向かわなかったのか。

萩谷麻衣子弁護士:
そのときはまだ、自民党内の支持も失いたくないという算段もあったんじゃないかと思います。現職の総理が総裁選に立候補して、2位や3位では顔が立たないというか、立場がなくなるという判断なのではないかなと思います。

派閥がなくなり初の総裁選 取りざたされるのは・・・

良原キャスター:
来る総裁選、誰が出馬するのか、今取り沙汰されている方たちです。

石破茂 元幹事長(67)
加藤勝信 前厚労大臣(68)
小泉進次郎 元環境大臣(43)
河野太郎 デジタル大臣(61)
小林鷹之 前経済安保担当大臣(49)
高市早苗 経済安保大臣(63)
野田聖子 元総務大臣(63)
林芳正 官房長官(63)
茂木敏充 幹事長(68)

総裁選の日程は、9月20日・27日が有力と言われていて、8月20日に投開票日が決まります。立候補には国会議員20人の推薦が必要になります。

井上キャスター:
この中に、上川陽子さんが入っていないですね。

星さん:
上川さんは、例えば岸田総理が総裁選挙に出れば、岸田総理と同じ派閥ですから、もちろん岸田総理を応援しますよね。

岸田総理の派閥は、おそらく林官房長官が手を挙げる可能性があるので、上川さんは派閥の中では林官房長官を応援していくということになりますから、上川さん自身が出る幕はなくなってくると思います。

井上キャスター:
岸田総理は、林官房長官を推すと考えているんですか。

星さん:
岸田総理は、誰を推すか鮮明にしないと思いますが、宏池会という派閥が誰も手を挙げないで草刈り場になるのは嫌だという感覚は強いと思います。

萩谷弁護士:
派閥が自民党内で表向きに解消されて、派閥の調整がなかなかできない状態での総裁選になると思いますが、その場合、候補者はいつもより多く出るんですか?

星さん:
おそらく、20人の推薦人を確保できた人はどんどん手を挙げると思います。

ただ、「派閥が解消された」といっても麻生派はまだ残っています。岸田総理自身も「派閥を解散する」と言いながら、唯一、派閥を維持している麻生さんに協力を要請したりしているので、どうも中途半端です。

ホランキャスター:
「派閥を解消しました」と言っていても、実質、そこにはあると見ておいた方が良いですか?

星さん:
と思います。おそらく派閥を超えて、若い人同士で集まるということはあるでしょうけど、派閥的な枠組みは残るということだと思います。

井上キャスター:
そう考えるとキーマンは麻生さんですか?それとも他のどなたかですか?

星さん:
麻生さんは、岸田総理が続投する場合、支援して力を発揮しようということだったので、岸田総理が出ないとなると、河野大臣も難しい、茂木幹事長も勝ち目がなかなか見えてこない・・・となると、麻生さんからするとやや手詰まりな状況だと思います。

衆議院選挙早まる? 立憲民主党も代表戦

良原キャスター:
では、今後の日程についてです。

9月23日 立憲民主党 代表戦
9月末まで 自民党 総裁選
秋? 臨時国会→解散・総選挙?
11月 アメリカ大統領選
2025年1月 通常国会
夏 参院選
秋 衆院議員任期満了

9月23日には、立憲民主党の代表選も控えています。自民党総裁選が9月末までに行われます。そして動きがあるかも?と言われているのが秋。臨時国会が始まり、解散・総選挙の可能性もあるということです。

井上キャスター:
東京都知事選挙でも強烈な既成政党への「ノー」、無党派層の動きが注目されましたが、そういったことを与野党ともにどう感じ取れるかということですね。

星さん:
自民党への風向きは、国会議員の人たちが思ってる以上に厳しいものがありますので、それを真剣に受け止めて対応しないといけません。

例えば立憲民主党の野田佳彦さんのような人が出てきて、自民党は人気取りで小泉元環境大臣を立てた場合、これは勝負にならないということになってしまいます。自民党は、そんなにおちおちしていられない、かなり切羽詰まった状況だと思います。

ホランキャスター:
秋に解散総選挙か?ということですが、自民党のトップを変えたところで戦えるのか?という部分については、まだわからないですよね。

萩谷弁護士:
「自民党が変わることを示す必要があるから、自分がけじめを取って辞めるんだ」と言いましたが、変わったからといって、国民は自民党を本当に信頼できる政党と考えるか?というとそうではないと思います。候補として、上がっている方々を見て・・・どうなんでしょうね?

星さん:
表紙を変えただけではね・・・中身が変わらないとだめですよね。

井上キャスター:
やはり、求めているものと全然違うなと思いますね。

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<プロフィール>
星浩 さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年

萩谷麻衣子さん
弁護士
結婚・遺産相続などの一般民事や、企業法務を数多く担当

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