東京から富山に帰省中の小学3年生の“バッタ博士”が、「虫の忍者」ともいわれる絶滅危惧種の「カワラバッタ」を見つけました。1匹捕まえることすら珍しいこのバッタ。連絡を聞いて現場に向かうと、奇跡的にも2匹目を発見。2年連続となる祖父母の住む富山での珍バッタとの出会いに思わず…「うれしいです!」

「虫の忍者」ともいわれる「カワラバッタ」は体長は3,4センチほど。体色は河原の小石の色に似た灰色で、握りこぶし大の石が多く転がっている河川中流域の河原で、周囲の色に溶け込み生息しています。

静止しているときにみつけるのは難しく、地表近くをわずかな時間だけ飛ぶ瞬間に、目で追って着地した場所を見極めて、網で捕まえます。

これが、8月9日午後0時ごろに小学3年生のバッタ博士、東京都の剛くんが富山県高岡市の庄川河川敷で捕まえた「カワラバッタ」です。
確かに“忍者”のよう…。
虫かごの中でも周囲の色に溶け込み、身を隠しています。

「カワラバッタ」は、富山県では将来的に絶滅のおそれが増大している『絶滅危惧2類』に選定されている希少なバッタです。
今回、剛くんも初めて見たとき、バッタの名前がわからなかったそうです。

剛くん:「このバッタなんだ?と思って調べたら、絶滅危惧種ってわかって、すごいびっくりしました。家に帰って調べたら、河川敷の工事や洪水とかの影響を受けやすくて、どうやら絶滅危惧種になって、都道府県によっては絶滅しちゃっているところもあるそうです」

毎年、祖父母が暮らす富山県高岡市に里帰りをしている剛くん。「カワラバッタ」を見つけたこの場所は、去年も珍しいバッタを見つけたお気に入りの場所なんだそうです。

去年、同じ河川敷で発見した全身ピンク色をしている「ピンクバッタ」です。

剛くんが見つけた「ピンクバッタ」【2023年8月取材】

昆虫の生態を研究している富山市科学博物館の岩田朋文学芸員によりますと、ピンク色のバッタは「突然変異により色素に異常が生じた個体」とみられ、「富山では1年に1度、確認されるかどうかのバッタ」だということです。

剛くん:「めちゃくちゃラッキー、幸せです。東京に帰っても頑張って育てます」

ピンクバッタを捕まえた剛くん【2023年8月取材】

去年も取材させてもらったこともあり、8月9日、剛くんのお母さんから連絡を受けて、その日の午後5時ごろに剛くんのところにかけつけると、妹と一緒に虫かごに入った「カワラバッタ」を見せてくれました。

剛くん:「カワラバッタは“かっこいい”とは思う。命を守るためにわざわざ擬態して生きることが素晴らしい」

剛くんに「カワラバッタ」を捕まえた河原に連れて行ってもらいました。

現場で話を聞いていると、地表近くを飛ぶ物体が…。まさか? 着地した場所とみられる場所にそっと近づくと、剛くんが持っていた虫取り網をひと振り。

剛くん:「カワラバッタ ゲットしました」
記者:「ほんとに?みたいみたい!すごい!

剛くん:「またつかまえられるとは思っていなかった。うれしいです」

剛くんも撮影していた記者もおおはしゃぎ。
奇跡の2匹目をゲットしました。
しかし、せっかく捕まえた「カワラバッタ」をどうするのか聞くと…。

剛くん:「このバッタは逃がします。絶滅危惧種だから生態系には逃がした方がいいんじゃないかなと思うので。一匹目も、絶滅危惧種だから東京に持って帰ってはだめだと思うので、帰る前に逃がします」

剛くんは、小さいころからおじさんの影響で昆虫採取にはまりました。毎日のように河川敷などに出かけ、虫を捕まえては自宅に持ち帰り、図鑑などで種類や生態を熱心に調べる研究家。特にバッタは大好きです。

絶滅のおそれのある「カワラバッタ」。剛くんは「絶滅しないでね」と願いながら、捕まえたバッタとお別れしました。残る夏休み、どんな「珍バッタ」たちとの出会いが待ち受けているのでしょうか。剛くんの冒険はまだまだ続きます。

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