性教育という言葉から皆さんはどんなことをイメージしますか?子どもたちが性的な情報に簡単にアクセスできる時代になっている今、正しい性の知識を持つことの重要性が高まってきています。

先月、うるま市の田場小学校で行われた特別授業。子どもたちが集まって読んでいるのは「性」に関する本です。

▽児童
ー何を読んでいた? 
「おちんちんの絵本」
「へその緒とかどうやってつながっているのかなとか。気になる」

ー家族や友だちと性に関する話をする?
「あまりしない」

普段なかなか話さない「性」の話題に関心を寄せる子どもたち。

▽思春期保健相談士・和田なほさん
「みんなの体は頭のてっぺんからつま先まで全部名前がついている、全部大切なものなんだけど、その中でも特に大切なところがあります。それは口、胸、性器、お尻が大切です」

子どもたちに優しく語りかける思春期保健相談士の和田なほさん。神奈川県出身の和田さんは日本体育大学を卒業後、東京で保健体育の教員を5年間務めました。

▽思春期保健相談士・和田なほさん
「学校で教えられることと子どもたちが抱えているもののギャップがすごくあって、このままでは子どもたちに性教育が足りていない、なんとかしなきゃいけないなとずっと感じていました」

日本の性教育が遅れた要因の1つと言われているのが、学習指導要領にある「はどめ規定」です。

小学5年の理科で生命の誕生を学ぶ際、「人の受精に至る過程は取り扱わない」として、性交渉については教えられていません。

▽思春期保健相談士・和田なほさん
「性教育も性の健康を守る、性の安全を守る、自分たちの権利を知る、相談先を知るといった知識は平等に子どもたちみんなが持って、世の中に社会人として出ていかなければいけないというのを感じた」

文部科学省は去年4月、ようやく幼児期からの性教育を目的に「生命の安全教育」を始め、指導に向けての手引きなどを作成しましたが、子どもたちにどの程度教えるかは各学校の判断となっています。

こうしたなか、田場小学校では今年度から全学年で性教育を行っています。授業では、性暴力から子どもたちを守るために、自分の体を大切にして欲しいと呼びかけます。

▽思春期保健相談士・和田なほさん
「人がいっぱいいる中で、ちょっと見てみたいから見てみますと言って裸になって体を見たりしたらどう?周りの人びっくりするね。びっくりするしそれを見て嫌な気持ちになる人もいますね。もしかしたらそこに悪い人がいたときに、みんなは“性被害”といって、無理やり体を触られそうになったり嫌なことをされそうになったりするかもしれません」

▽うるま市立田場小学校・島袋淳校長
「始めてみないことには、批判がどういう批判なのかあるいは賛同してくれるのかも見えてこない。見えないまま過ごすよりは一刻も早く(性教育を)やりたいと。これは大事な第1歩にしたい」

また教員向けの研修も行い、子どもたちにどう「性」を伝えていくべきなのか、教える側も考えます。

▽思春期保健相談士・和田なほさん
「子どもが何か困ったことがあったときに相談してもらえる大人になるためには、ちゃんと真面目に向き合うしかない。聞かれたことに誠実に答えていくしかない。性について話しづらい、やりづらい、本当はやりたくないという大人側の気持ちも私は受け止めたいけれども、子どものためにちゃんと伝えていこうという気持ちを子どもに見せることが一番大事」

和田さんは、子どもたちに正しい性教育をしていくためにも、まずは大人の意識を変える必要があると伝えます。

▽小学4年生の担任
「素直に性に興味を持っている子どもたちは結構多いと思いますので、子どもたちの意見の中から性について僕たちに指導できることって何かなというのをまずは先生方と話し合って、その中でどういった形で子どもたちに伝えていけるかということから始めるのが大切なのかな」

▽小学2年生の担任
「学習指導要領にはこの言葉は使わないとかあったりもするので、どうやって伝えたらいいんだろうというのがあったので、嘘をつかない、誤魔化さないというのがやっぱり大切だと思った」

性の授業に参加した子どもたちもたくさんの学びがあったようです。

▽6年生の児童
「嫌なことがあったら信用できる人たちに相談していいとわかりました。自分の身体は自分のものだからこれからもし触られてきたりしたら抵抗しようと思いました」

▽6年生の児童
「もっと大切にしようと思いました」

ー何を大切にしようと思った?
「自分の体のこととか周りから嫌なことされたりしても、自分を大切にしていこうと」

大切な人や自分自身を守るために何が必要なのか、性教育の現場もいま変わり始めています。

<記者MEMO>
「赤ちゃんはどこからくるの?」と子どもに聞かれて答えに困ったという親御さんは多いと思いますが、子どもの性に対する純粋な疑問に対して嘘をつかない、誤魔化さないということが何より大切なんだと私自身も学びました。

性教育は少しずつ進んできているとはいっても学校によって差はあり、まだ課題も多く残っています。自分や周りの人を大切にするために子どもたちが平等に正しい性の知識を学べる環境が必要だと感じました。(取材:仲田紀久子)

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