店内で男性が意識不明に たまたま居合わせた若者たちが動く

コンビニで突然倒れて意識不明となった70代の男性…。あわやの状況を切り抜けたのは、たまたま居合わせた若者たちの、命を救う連携プレーでした。

2024年2月、広島市中区のコンビニエンスストアで、店長をしていた田原左知子さん(55)は、店内で男性(70代)が倒れ、意識や呼吸がない状態になったのを発見しました。

その日、アルバイトで店員として入っていたのは、大学で看護学科に所属している月橋葵さん(20)。すぐに119番通報をしながら、男性の状態を各員したところ、大学で学んだ知識から「呼吸がおかしい」ことに気がついたといいます。

そんな2人の様子を客として店内に居合わせた別の若者が目にします。レジの前で支払いをしようとしていた大学生の辰野史奈さん(21)です。

「これは助けなきゃ」

辰野さんは以前、身の回りで心臓病で倒れた人がいた経験から、「何かしてあげられることはないか」と自ら調べていたことがあったといいます。店内の状況を見てとっさに「これは助けなきゃ」と感じた辰野さん。

「代わりますよ。AEDお願いします」

辰野さんは、店員の月橋さんにAEDを取りに行くようお願いしました。

月橋さんはコンビニから飛び出し、急いで店舗の近くにある大学へと向かいました。その間、辰野さんが男性に対して心臓マッサージをしていました。

「自分では体重が足りない…」

ただ辰野さんは、自分では体重が足りないと感じていました。

「頼りになりそうなお兄さん」は年下の高校生ラガーマン

そこに別の若者が偶然居合わせます。高校生でラガーマンの池口颯斗さん(17)です。

辰野さんは、この状況で「頼りになりそうなお兄さん」を見つけ、池口さんに交代を依頼したといいます。

「代わるしかない」

心臓マッサージのやり方がわかったという池口さんは、人が倒れている状況を見て「やるしかない」と思い、意を決して心臓マッサージを続けました。

一方、AEDを探し近くの大学へと駆け込んだ月橋さん。そこにいた学生2人に声をかけます。

「AEDありませんか?」

月橋さんから突然、声をかけられたのは、大学の自習室に向かって歩いていたという鈴木佑太郎さん(19)と渡部睦貴さん(19)。突然の事態に動揺したという2人でしたが、月橋さんの切羽詰まった様子をみて、これはただ事ではないと直感。状況がよくわからない中でしたが、「できることがあれば」と、無我夢中でついて行きます。

AEDを持った3人がコンビニに戻ると、月橋さんがAEDを作動。ここでも看護学科で学んだ経験が生きました。

男性は、その後、到着した救急隊によって病院へと搬送されました。一時は意識や呼吸がない危険な状況でしたが、偶然居合わせた若者たちによる、とっさの連携プレーによって、今では回復して無事に社会復帰したということです。

「とっさの判断で行動に移すことはなかなかできることではない」

2日、広島市中消防署の中道博和署長は、6人に感謝状を手渡しました。

中道署長は「とっさの判断で行動に移すことは実際にはなかなかできることではありません。皆さんの的確で勇気ある行動が1人の尊い命を救うことにつながったものであり、改めて敬意を表します」と話しました。

辰野史奈さんは「ちゃんと救急救命活動をすれば人は助かるんだと思えて、救命活動は本当に意味があることだと実感できた。1人でなんとかしようではなくて、周りの人を巻き込んでやっていくのも大事だと思った」と話していました。

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