原発で事故が起きた時の屋内退避について規定する原子力災害対策指針を見直すため、原子力規制委員会が設置した検討チームの初会合が22日、開かれた。東京電力福島第1原発事故のように、大量の放射性物質が原発の外に漏出するような最悪レベルの事故を想定しないことが示された。

◆「新規制基準で対策が強化されている」

原発事故時の屋内退避のあり方を検討するチームの初会合

 事務局はこの日、福島事故後につくられた新規制基準で設置が求められる事故対策がうまく機能した、とする三つの想定を提示。いずれも、格納容器が破損して放射性物質が大量漏出した福島事故のような重大事態を回避できる状態とした。担当者は「新規制基準で対策が強化されており、現実的な事態」と説明した。  想定しているのは原発のフィルター付きベントなどで放射性物質の漏出を制御できるような事故。被ばく線量をシミュレーションし、屋内退避の具体的な日数や対象範囲などを議論していく方針で、出席者から異論は出なかった。チームは放射線医学の専門家や自治体職員、内閣府の担当者ら約20人で構成する。

◆能登半島地震では屋内退避は困難だった

福島第1原発=2022年3月

 現行の指針では、原発事故時、5~30キロ圏内ではいったん屋内退避し、放射線量により段階的に避難するとしている。能登半島地震では家屋倒壊が多発し、北陸電力志賀原発(石川県)で事故が起きていたら屋内退避が難しい状況だった。だが、規制委は屋内退避が有効な手段との認識を示し、チームは屋内退避を前提に議論し、本年度内に報告書をまとめる。(渡辺聖子) 

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