犯罪や非行をした人たちの立ち直りを支える活動を行う「保護司」、いまその在り方が問われています。きっかけは、ある殺人事件でした。

滋賀で起きた保護司殺人事件

今年5月、滋賀県大津市で60歳の男性が自宅で刃物で刺され死亡しているのが見つかりました。男性は、「保護司」として活動していて逮捕されたのは男性が支援していた保護観察中の35歳の男でした。

「保護司」は、犯罪や非行をした人たちの立ち直りを支える、重要な役割を持つ活動を行っています。実際、保護司を行っている人の活動内容はどうなっているのでしょうか。現役の保護司に話を聞きました。

保護司の70代男性:
「保護司になった以上は少しでも役に立てばいいなと。対象者の方々がしっかりと更正していく姿を見るのがすごく嬉しい」

保護司はどんな活動をしているのか?

仙台市内に住む70代の男性。保護司を務めておよそ30年になります。滋賀での事件を受け今回は匿名で取材に応じてくれました。男性は現在、2人の保護観察を担当しています。

保護司の男性

保護司の70代男性:
「窃盗だったり、人を殺めてしまったり色んなケースがある。罪を償って出てきて社会の一員としてこれからやっていくということですので、しっかり支援していければいい」

男性は、定期的に保護観察の対象者と面談を行い生活環境などを保護観察所に報告しています。

保護司の70代男性:
「初回、面接の時は、どうして保護観察を受けることになったのか、お互い確認をして、あとは普通に仕事の状況とか学生であれば学校どうだとか、友達関係とかそうした感じでやっている」

罪を犯した人の立ち直りを支援し、安全な社会を維持するためにも大切な役割を持つ「保護司」ですが、実は「保護司」は「仕事」ではなかったのです。

保護司は「民間ボランティア」だった

「保護司」は、犯罪や非行をした人の立ち直りを支える「民間のボランティア」と位置付けられています。このため、活動そのものは原則、無報酬です。

保護司は、法務大臣から委嘱されて活動しています。もともとの職業は、会社員や公務員、自営業など様々ですが、現役の保護司の方からの推薦で委嘱されるケースが多いということです。

保護司の主な活動を整理すると、大きな役割が「保護観察」です。裁判で保護観察処分となった対象者と月に2回程度、自宅に招くなどして面談を行い毎月、保護観察所に報告書を提出します。

次に「生活環境調整」です。矯正施設に収容されている人が釈放されたときに住む場所や就職先等の調整を行うなど受け入れ態勢を整えます。未成年の立ち直りを支援する保護司も少なくありません。

少年の更生で立ちはだかる壁とは…

保護司になり8年目の60代女性です。現在は6人を担当していて少年の割合が多いといいます。

保護司の60代女性:
「前回会った時に気になっていたところとか、お金の使い方とか学校に行ってるかとか。あとは家族との様子を聞いたりしてます」

保護司の支援があっても対象者本人の意思と周りの理解がなければ再び非行に走るケースもあると言います。

保護司の60代女性:
「地域でその子どもたちが特別視されることなく生活できるように導いてあげたいなと思うけれど、精神障害や家庭的な問題があり、犯行に走ってしまうケースも多く中々難しいですよね」

そもそもボランティアではなくきちんとした「仕事」として態勢づくりをしても良いとの意見もありますが、保護司という制度はどの様にして作られたのでしょうか。

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